運用メンバーインタビュー

株式戦略部 ファンドマネージャー松本 凌佳まつもと りょうが

2022年、東京大学経済学部金融学科卒業後、新卒でレオス・キャピタルワークス入社。2022年6月より、株式戦略部で企業調査に従事。

「数字の先には面白い世界がある」

私は昔から、「統計オタク」と言えるほど数字が好きでした。数字のデータを見た時に、数字と数字から因果関係を発見するのがたのしくて、大学では統計学を主に学んでいました。

なぜ数字が好きになったのかを紐解くと、子どもの頃のおこづかいがきっかけだと思います。
毎月のおこづかいでお菓子やトレーディングカードを買っていました。おこづかいがいろんな「モノ」に変わっていくなかで、お金をもっと持っていたらもっと大きな買い物もできると思うようになりました。
お菓子を100回我慢すればゲーム機を買える、そのゲーム機を1000回くらい我慢すれば家が買えるな、と考えて、子どもながらに「お金ってすごいな」と感じていました。買えるものがどんどん広がっていくと考えたらお金を貯めることが楽しくて仕方がなくなって、小さな賽銭箱の形をした貯金箱に毎日お金を入れて拝んでいましたね(笑)
いっぱいになったら開けて、「これで何が買えるかな」と妄想するのが好きでした。

それが大学生になると、収入も支出もそれまでとは桁違いになります。アルバイトをして得たお金はおこづかいの何倍にもなりますし、家賃や光熱費を支払うようになると支出はそれまで買っていたお菓子とはくらべものにならない金額です。
世界はお菓子やゲームから確実に広がって、今あるお金をふやしていかないともっと面白い世界は見えないと思い、はじめて株式投資に興味を持ちました。その時にお金を置く場所として貯金以外の選択肢を知りました。

相場と向き合う少年に魅せられて

私は理系を選択して大学に入学しています。理系で何かを突き詰めていこうとすると数学か物理を極める人が多いのですが、私の周囲には高校時代に物理や数学の領域で日本・世界で通用する実績を持っている人もたくさんいました。その人たちと話すと、それらの領域に対する熱意が圧倒的なんですよ。私はそこまで数学や物理自体に熱意はなかったし、これは戦う場所を変えないと、勝負にならないと感じました。

じゃあ何をしようと考えていたときに、友人から投資の本をもらいました。『ワールドエンドエコノミカ』というライトノベルなのですが、数学の天才と株式投資で夢をかなえようとする野心的な少年が登場します。相場と向き合い徹底的なファンダメンタル分析を行なう姿、その少年の心の強さに憧れを抱きました。その本との出会いで投資の世界への道が開けたような気がしました。

プロ投資家の言葉の深み

その後、投資を学び、関わるためにはどうすればいいだろうかと考え、大学の投資サークルに入りました。そのサークルで毎年1回行なっている投資アイデアの発表会の審査員として来たのがレオスの藤野さんでした。

藤野さんの学生へのフィードバックを聞いてると、その言葉に深みがあると感じました。その時はそう感じた理由がよくわかりませんでしたが、そこからレオスやひふみに興味を持ち、調べはじめたんです。その時はコロナショックのタイミングで、ひふみ投信はそれまで保有していた株式の一部を売却して現金比率を引き上げた時でしたが、その対応には衝撃を受けました。自分でも個別企業の株を買って分析をしていましたが、マクロで起きる事象には対応できず、コロナショックの時は結構大きな含み損も抱えていたんです。なので余計に藤野さんの引きぎわを見抜く力というか、その意思決定ができるファンドマネージャーって本当にすごいな、と。
そういう投資家としての力を身につけたいと考えた時に、将来レオスで、藤野さんのもとで学びたいという気持ちが芽生え、レオスに入社しました。

入社してから、藤野さんとお話してあの時の「深み」の正体が見えた気がします。藤野さんは特別な情報源を持っているわけではなく、投資の情報も世の中に溢れた情報も淡々と自分の中で咀嚼して、徹底的に考え抜いて意思決定をしているんだと感じます。
その過程を何度もくりかえしてきた経験が言葉に深みを生んだのだと今になって思います。

株式投資は過去から未来へのバトンタッチ

私は数字を起点に物事を考えるタイプですが、そこからどんなことを考えているかというと人と人との繋がりです。

投資はコンテストに例えられることがあります。
みんながいいと思って投票すれば、それは優れているということになるし、例え本来はいいものでもみんなが投票しなければ負けてしまいます。確かにそういう見方もあると思う一方で、それはロマンがないなあと昔からずっと感じていました。

株式の売買は、「今売りだ」と思ってる人と「今は買いだ」と思ってる人双方がいて成り立ちます。確かに株価が動くことそのものはコンテストの要素が大きいです。いいと思って買う人が多ければ株価が上がるし、評価する人が少なければ株価が下がる。

でも、「売ること」と「買うこと」そのものは、バトンタッチのようなものだと思っています。「今はこれ以上の成長が見込めない」と思った人から「この企業はきっと成長する」と未来を信じられる人に株式が渡っていったと考えられると思うんです。
画面上で動いている数字や株価の背景には、その事業や会社の未来を信じる人へのバトンタッチが絶え間なく行なわれています。
何十年も上場してる会社の株は、今に至るまでの歴史が紡がれている株で、今ひふみを通して私たちがお客様のお金を投資して、ここにあるのかと思うと本当にワクワクします。

企業調査の楽しさは、そうした企業が紡いできた歴史を数字から知り、未来の解像度をあげていく中にあると思います。どれぐらい先の未来で今とどんな風に違う姿を描けるのか、おこづかいを起点に考えていたことが、今では調査という仕事を通じて同じことをしています。まだキャリアはスタートしたばかりですが、そう思うとアナリストは天職といえるのかもしれません。

1日も早く成長するために

2022年の4月に入社してから、多くの先輩アナリストの取材に同席してきました。

長期的に企業の価値観を大切にして取材するところはどの先輩も共通しています。一方で、投資アイデアをどう見つけてくるか、どう組み立てるかというのは本当に人それぞれだと感じています。
アナリスト同士で真逆の意見になることもありますし、私の考えとは異なることももちろんあるので、勉強になることは多々あります。同じ企業の同じ情報を見ていても何を思うか全く違うので、その視点を自分にどう取り入れ成長するかを考えつつ、よりよい投資アイデアで運用に貢献していきたいです。

(最後に、お客様に一言お願いします)

お客様とお話すると、すごく温かい言葉をかけていただくことがあります。そのお声を原動力に今後も全力で企業調査に取り組んでまいります。