お知らせ

「ひふみワールド」運用責任者からのメッセージ

いつもひふみワールドをご愛顧いただきありがとうございます。

4月2日に発表された米国トランプ大統領による相互関税導入による世界経済への多大なインパクトを懸念し、株式市場が大幅に下落したことが要因となり、本日のひふみワールドの基準価額が前日比ー1,027円( -4.97% )と大きく下落し、お客様にはご心配をおかけしております。

ひふみワールドは米国株式市場の割高感と自動車関税に言及があった先月末から米国株を中心に少しずつ売却し、現金比率を上げると同時に、ドイツ財政規律法の見直しなど欧州市場の比較的優位を鑑みその比率を若干上げていました。2025年2月末のポートフォリオに対する米国市場の比率は約76%、現金等比率は約6%でしたが、2025年3月末の米国市場の比率は約60%、現金比率は約14%となっています。

2月の米国CPI(消費者物価指数)は前年同月比+2.8%(年率)、3月の失業率も4.2%と依然として高位にある一方、GDP成長率が昨年をピークに徐々に鈍化傾向が見られ、直近のアトランタ連銀の「GDPナウ」によれば第1四半期の実質GDP成長率(季節調整済み、金輸出入調整後年率)予測が-0.8%予想になっています。米国経済はすでにスタグフレーション(不況下のインフレ)状態と言ってもおかしくないため慎重な投資スタンスを維持しています。大規模減税法案が米国の上院で可決されたと同時に米共和党は年間課税所得100万ドル以上の富裕層に課す所得税最高税率区分を作り、現行最高税率37%を39-40%に引き上げを検討するとの報道もあり、混沌とした米国市場に対してより一層の緊張感を持ち対応しています。既成概念を超えたトランプ大統領のあらゆる政策を軽視していません。大統領3期目を狙う動きもあり今後の経済・安全保障政策などの変化を注視しています。

為替市場でドル・円相場が1ドル=145円台となるドル安・円高になったことも基準価額下落の要因です。為替相場の操縦はできません。関税導入による米国インフレ懸念の再燃も考えられ、日米実質金利差縮小に時間がかかる可能性はあり、ドル高・円安要因の継続も考えられます。一方で米国景気鈍化がこれまで通りインフレ率縮小につながればドル安・円高要因となりますが、しばらく観察する必要があります。また、相互関税導入後の2国間協議が交わされた場合もどのような結果となるかも注目ですし、トランプ政権からの追加注文があった場合には混迷状態が続きます。いずれにしても世界経済は不安定度を深めると思われ、企業業績に多大な影響を与えることは間違いありません。

トランプ米国大統領の任期が3期以降も続く可能性も鑑みると慎重にならざるを得ません。米国以外では財政規律法案撤廃を決定したドイツを中心にした欧州、対抗関税措置を取った中国を中心にしたアジア圏も安全圏とも言い切れません。しばらく世界でシビアな政治・経済状況が続いてしまうとの前提の投資行動となりますが、どのような環境下においても運用本部メンバーは世界を明るくする企業をあきらめず探し続けています。しばらくご心配をおかけしますが、長期積立て投資を続けていただき、この下落が絶好の投資機会だったと思える未来を想像し、ひふみワールドを見守ってくだされば幸いです。

 


最高投資責任者
ひふみワールド運用責任者
湯浅 光裕