『すべての人生に夢中を-夢中の震源地 SHOWROOM-』【ひふみフォーラム2020開催レポート vol.6】
5月24日にオンライン開催(YouTube Live)した「ひふみフォーラム2020」ではたくさんの方にご視聴いただき、本当にありがとうございました。
岡田武史さんの基調講演、小林さやかさんとレオスメンバーによる鼎談に続き、3人目のゲスト、SHOWROOM株式会社代表取締役社長 前田裕二さんが登場です。レオス代表 藤野英人の対談でお届けしました。
対談のテーマは「すべての人生に夢中を ―夢中の震源地 SHOWROOM―」です。
2013年、仮想ライブ空間「SHOWROOM」を立ち上げられた前田さん。近著の『メモの魔力』も大ヒットし、発売2日で17万部突破、現在60万部を超えています(電子版含む)。
SHOWROOMで実現したい世界観についてお話しいただき、「夢中」になることから挑戦するということまで、今、前田さんが考えていることについてお話しいただきました。
レポートは、ダイレクト営業部の井波がお送りさせていただきます。
当日、私は自宅のリビングにノートPCを広げ、自分で淹れた紅茶を飲みながらひふみフォーラムを視聴していました。多くのお客様もアンケートに書いてくださいましたが、こうして自宅でリラックスしながらひふみのイベントに参加できることで、ひふみを自分の日常に身近な存在として感じられた気がします。(井波)
前田さんと藤野との不思議なご縁
前田さん:
大学を卒業してすぐ、ある外資系証券会社に入社しました。そこで最初に担当したお客様がレオスさんだったんです。当時、僕は社会人1年目、22歳かな。今からちょうど10年前ですね。
藤野さんは当時すでに伝説的なファンドマネージャーでしたから、「こんな投資アイデアで電話して良いのだろうか…」と何度もためらいながら、震える手で受話器を持って、電話をかけていました。でも藤野さんは、そんな僕のような若造の提案をちゃんと受け止めて聞いてくれたのが強く印象に残っています。渋谷の、とあるIT企業の社長とIRミーティングを設定させてもらって、二人で一緒に会社訪問したこともありました。それからこんなに時間が経って、こうして藤野さんとの対談に呼んでいただけるなんて、本当に不思議なご縁ですし、嬉しく思います。
藤野:
前田さんは今や日本の若手起業家の中でも注目される存在になられて素晴らしいですよ。一昨年、僕が講師を務めている明治大学商学部での授業にも、前田さんにゲストに来てもらったよね。
僕はこの授業を約20年間やっていて、経営者の方をゲストに何人も呼んでいるんですが、前田さんの回は過去最高の盛り上がりでした。講義が終わった後、学生たちが興奮して前田さんを取り囲んじゃって、自分のTシャツの裏とか、ノートPCとかスマホにサインしてほしい!と。もう夜遅くだったのに、全然帰らないんです(笑)。
SHOWROOMのつくる 感謝と努力の連鎖
藤野:
知らない方もいると思うので、SHOWROOMがどういうサービスか、簡単に教えてもらえますか?
前田さん:
SHOWROOMは、ライブ会場を模したオンライン上の空間に参加できるサービスです。サービスの最大の特長が、視聴者可視化による「ギフティング」のシステムです。お客様は自分がアバターとなってライブに参加して「この子の夢を応援したい!」と思ったら、演者にコメントやギフトを使って応援することができるんです。
初めての配信でも最低でも数百人~1000人が見てくれますし、多いと数万人以上が参加することもあります。数万人の集客というと、リアルなライブ会場だとアリーナクラスなので、ファンベースを広げる意味で有意義な機会を提供できているかなと思います。
藤野:
サービスを知らない人が今の話を聞いたら誤解しそうだけど、若い子が若さを売っているわけではないんですよね。
前田さん:
まさに。実際、今年84歳になる女性のケイコさんという配信者の方もいます。
その方は、僕に会いに来てくれたことがあるんですが、そのときにある1冊の本を手渡してくれたんです。ケイコさんのファンが、ケイコさんが配信で言った言葉を1冊の本にまとめて自費出版してくれた本だというんですね。
当時82歳の方が目に涙浮かべながら、「私の82年間の人生において、ここまで人に必要とされている感覚は感じたことがなかった。ファンとの温かい絆が生まれる場所をつくってくれて、ありがとう」とお礼を言ってくださって。
まさにこれこそ起業家、そして新しいサービスをつくる醍醐味だと思いました。「自分たちがいなかったら、その人の人生になかったかもしれない幸せ」をつくりに行っている感覚を確かに得られたんです。
藤野:
それはすごい話ですね。前田さんは昔、ストリートライブをやっていたところが原点だったと聞きました。
前田さん:
そうなんです。僕は幼くして両親を亡くしているんですが、小学6年生の時に「自分で稼ぐ」ことをしたいと思って、路上でギターの弾き語りをしていました。その時に気づいたのが、「お金を入れていってくれる方の幸せそうな感じ」でした。この感覚は正確には言語化しにくいんですけど、その方の表情とか、言葉のやりとりとかが、とても強く心に残っていて、それをビジネスにできたらいいな、というのが原体験でした。
まさに同じようなことがSHOWROOMのいろんなところで起きていて、新しい絆が生まれて、温かいやりとりが行なわれていて。頑張る人と頑張りを応援したい人の間の中で、感謝と努力の連鎖がどんどん起きている。僕自身も、幸せをおすそ分けしてもらっています。
努力がフェアに報われる世界
藤野:
SHOWROOMの創業当初からのミッションは「努力がフェアに報われる世界を創る」ですよね。演者・配信者の方が、歌なのかメイク動画なのか、とにかく個々が得意なことを工夫して配信していけば、報われるような世界を作りたかったということなんですよね。
前田さん:
そうです。既存の確立したメディアに出ていくのではなくて、「自分自身の自助努力によって自分がメディア化する」ということができる世界があるならば、すごくフェアだと思っています。
例えば、テレビとかラジオっていう場所は、当然出じろが限られていますから、努力はもちろんのこと、きっかけや運や縁がなければ出ていけない場所なのかなと思うんです。一方SHOWROOMは、自分がしっかり意志をもってアクションを起こせば、必ず発信までは辿り着く。そして、努力すれば、ファンもつく。配信の回数、更新頻度がファンの数に連動しているんです。そこがすごくフェアだと感じています。生まれ持った歌の上手い下手、ダンスのセンスとか、先天的にどうしようもないものというよりは、後天的な、更新回数やファンへの思いやり、どれくらいファンに対して想像力を働かせたか、という努力の総量がファンの数や演者の収益につながる仕組みになっているのは、すごく誇らしいと思っています。
それはYouTubeでも基本的には同じことで、YouTuberのヒカキンさんは、自分が人気者になった大きな理由の一つに、「身近さ」を挙げてらっしゃいますよね。身近さというのは「毎日毎日話しかけてもらうこと」で感じるから、こんなに人気になった今でも毎日、YouTubeを更新しているんだと。こんなに人気者になっているのに、まだ毎日更新していますよね。休まずに更新するその「努力」が報われる、というのはネットの世界の特徴なんです。
藤野:
ウィズコロナの時代になって、利用者は増えたと思うし、それによって救われる人も増えるんじゃないですか?
前田さん:
ありがたいことに、ここ最近では配信者、視聴者ともに急伸長しています。特に面白いのがライブコマース(ライブ動画を見ながら商品を購入できるような通販の形)機能があるんですけれど、それが伸びているということです。例えば、生放送中にオリジナルTシャツを購入したら、それがアニメーション表示されたり、配信者さんから直接コメントをもらえたり、コミュニケーションが発生するような仕組みなのですが、それがコロナ禍の影響で伸びているのは面白い変化だなと思います。
藤野:
それはすごい!
前田さん:
これから、コロナが長引けば長引くほど、人々の寂しさは増し、心の空洞化が加速するのだと思います。そんな中で、モノが理由でモノを買う、ということに加えて、「人とつながりたい」という、人の心が起因でモノを買う、というのが、一つの文化になっていくような気がします。
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後編では、SHOWROOMの「すべての人生に、夢中を」というスローガンに込められた想い、さらに新しいひふみのブランドメッセージ「次のゆたかさの、まんなかへ」に関連して前田さんが考える「ゆたかさ」についても、お話していただきました。
>>【ひふみフォーラム2020開催レポート vol.7】へ続きます!
(レポート:ダイレクト営業部 井波 彩)
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