ひふみアニュアルミーティング2020 EVENT REPORT ③
2020年12月13日にオンライン開催した「ひふみアニュアルミーティング2020」。
8時間にわたる盛りだくさんのイベントの様子を、レオスメンバーがレポートいたします!
第三回目は、ダイレクト営業部でアルバイトをしている藤野菜々歩がレポートいたします。
当日の動画はこちらから
2021年の世界経済と市場展望
ひふみを紡ぐ人〜基準価額を支える裏舞台
ひと休み〜グラレコで前半を振り返ろう
ひふみアニュアルミーティング2020最後のセッションは、株式会社スノーピーク 代表取締役会長の山井太さんが登場。
「今、わたしの学びと時間の使い方」と題し、新潟県三条市の山井会長と、当社代表取締役会長兼社長で神奈川県逗子市在住の藤野の対談をお送りしました。
山井会長と藤野が隣あって焚火を囲んでいる映像ですが、実は焚火があるのは藤野がいる逗子で、物理的な距離を超えて隣あうような合成映像になる「転送配信」という技術を使って、山井会長は三条市にあるスノーピークの会議室からご登壇いただきました。
合成する前の画像はこちら。コロナ禍での新しい取り組みにお客様からも反響をいただきました。
海の見える藤野の自宅からスノーピークの焚火台を囲み、2人がそれぞれの人生における「学び」と「時間の使い方」についてお話ししました。
山井会長と藤野のコロナ禍での過ごし方から、これからの展望まで、藤野からの質問&対話形式でセッションを振り返ります。
今を生きる上で重要な「人間性の回復」
藤野:
山井さんにとって「大切な時間」とは何でしょうか?
山井:
キャンプをする時間が大切な時間です。キャンプ以外だとフライフィッシングをしているときです。
フライフィッシングとは毛鉤(けばり)を自分でまいて魚を釣る釣り方です。
一人でも行きますし、友人や社員とも一緒に行きます。
フライフィッシングをしていると、とにかく頭が空っぽになります。
焚火を見ている時も、人は余計なことを考えずただその時間に集中しています。
私はこのように、釣りやキャンプを通した「人間性の回復」に重きを置いています。
今まで1,500泊以上キャンプをしてきましたが、自分自身のキャンプの体験を通して、より多くの人にキャンプの魅力を提供することにより、日常から少し離れ自分自身の時間を取り戻して欲しいと感じています。
藤野:
私は海を見てぼーっと過ごすことが大切な時間です。
実は私が逗子市に引っ越した理由は山井さんとの出会いがきっかけです。
初めてキャンプにご一緒させていただいた時に、私は正直その魅力がわかりませんでした。しかし、オフの時間に自らを日常から切り離しキャンプをすることで、徐々に「野遊び」の楽しさと充実感を得ることができました。
それから現在のこの家に完全移住を決め、海を見て朝昼晩の変化を楽しむことで、オンとオフの棲み分けができ、ある意味人間性の回復につながったのではと思います。
学ぶとは? リスクマネジメントをし、勝ちパターンを捨てる。
藤野:
山井さんにとって、学ぶとはどんなことでしょうか?
山井:
私は山や川などの自然から多くのことを学んできました。
小さいころから自然の中で雨に降られたり風に吹かれたりして、自然の中で遭遇する困難から生きるということを学んできました。
環境や時期の変化で生態系が変わり、何度も行くうちに自分も自然に対する知識をつけることができました。
この、変化の多い自然を予測し想像して行動することは、スノーピークのお客様の気持ちを推し量り、先取りして商品を開発し売り出すことに繋がっています。
また私は自然からだけでなく、父からも多くのことを学びました。
父は登山を頻繁にしていましたが、私に対して「山に行ったら必ず死ぬから」と登山を禁止していました。
自然が大好きな私が山に飛び込むということは、多くのリスクを取ることだと認識していた様で、そこで私は自然の厳しさとリスクマネジメントの大切さを学びました。
会社を継いだ後もなかなか新商品の開発の承諾をしてくれなかった父ですが、前受注が取れている段階での提案でやっと認めてくれるなど、リスクをしっかり考えることを常に念頭に入れていました。
藤野:
私は成功体験を捨てることこそ学ぶことなのでは、と思います。
同じことをずっとやっていることは学びではなく、今までのやり方を捨てられるかが重要かと思います。
一見過去の成功体験を踏襲し、勝ちパターンを続ける方がリスクを取らないように思われます。しかし時代は移り変わり、成功の定義もそれとともに変わっていくので、いかに今までの自分を否定できるかが大事だと感じています。
レオスでは、投資先の企業を実際に訪問していましたが、コロナ禍では、会社訪問ができなくなりました。
リアルに会うということを捨てて、新しいやり方を模索する。
自分たちの本来の勝ちパターンを捨てられたことが2020年の当社の成長につながったのではと思います。
山井:
一時期スノーピークも過去のやり方を捨てきれず、業績が伸び悩んでいた時期がありました。
伸び悩みの原因を気づかせてくれたのが、エンドコンシューマー(最終消費者)の方々でした。お客様との交流会をしたときに、対面で忖度なしの意見を聞き、そこから消費者目線を忘れないことを意識して、改革をしてきました。
すると自分たちが固執していたものがわかり、逆に未来を先取りして、お客様に良い商品を届けられるようになりました。リスクをしっかり理解した上で、過去の王道なやり方にとらわれないことが重要ですね。
コロナ禍で見えてきた、変化に対応するコツ
藤野:
山井さんの、変化に対応するコツはどのようなものがありますか?
山井:
今は特にコロナ禍で、地球レベルで未体験の変化をしなきゃいけない時代かと思います。
そもそもビジネスにおいて変化をするということは重要で、私は変化について対応することこそ企業の存在理由なのではと日々感じています。
スノーピークの場合、この状況の中でいかにお客様を満足させられるか、ステイホームという限られた条件の中で、主体的に楽しませられるかを考えることが、変化に対応することに続いていくのではと感じています。
藤野:
結果的にはアウトドアキャンプはステイホームの真逆とも捉えられるわけで、コロナ禍では難しい経営を迫られたはずですが、その点スノーピークはどうだったのでしょうか?
私はスノーピーク自身が新しい変化を生み出していたのではないかと予想しています。
山井:
確かに緊急事態宣言前には、キャンプ場に多くの予約をいただいていましたが、緊急事態宣言でキャンセルになり、打撃をうけました。
しかし、これまで高度なテクノロジーが発展すればするほど求められているのが、「野遊び」=スノーピークの製品でした。
キャンプの力を使ってビジネスソリューションや地方創生に手掛けてきましたが、今その波がコロナの影響で、3年ぐらい前倒しに来ています。
コロナ禍での急激な変化が、むしろスノーピークのコンセプトや価値に近づいてきたのではないでしょうか。
藤野:
私は想定外を楽しむことで変化に対応できるのではと思います。
マーケットと向き合っていると、リーマンショック、震災、新型コロナウイルスなど、いつも想定外のことが起こります。
それを悲観的にとらえず、最終的に「変化」という意味でプラスに変えていくか。
特に新型コロナウイルスはたくさんのものを前倒しにする力があります。
政府もハンコの廃止やデジタル庁の創設など、効率化していこうという流れが出てきました。
コロナ禍で絶対的に厳しい産業もありますが、前進した産業もあります。
業績が伸びている会社は未来型思考が強く、スノーピークのように時代の変化に乗りながら、誰かに幸せを提供している傾向があります。
コロナ禍において自宅にいる時間が増え、おのずと自分と向き合う時間も増えた私たちに、心が強くなるキャンプは必要不可欠だったのではないかとも思います。
よく山井さんがおっしゃる「スノーピークはキャンプ道具を売っているだけではなく、キャンプのシーンを売っている」という言葉は、会社が何のために、誰のために存続しているのかをよく考えている証拠だと思います。
日本の大きな会社は、組織を存続させるということに固執していて、何のための会社なのかを深く考えていない傾向があります。
そうではなく、企業自体や、ましてや生きるとは何か?まで深く議論することを習慣づけている組織こそ、長い目線で社会のために貢献する企業なのではないかと私たちは考えています。
それゆえ、このような企業は、自分たちの社会に対する信念に沿ってしっかり行動し、むしろ変化を楽しみながら成長し続けられるのでしょう。
新しく始めたこと、手放したことは?
山井:
昨年から軸足をアメリカに移したので、英語の勉強をしています。
アメリカの自然の雄大さや人々の根本的な優雅さにはとても感銘を受けました。
アメリカはキャンプ文化があるという意味ではまだまだ可能性があり、特にいまだ粗悪な道具を使っているところもあるので、スノーピークが変えられるのではないかと思います。
逆にコロナ禍でできなかったことは、せっかくアメリカ拠点で新たな挑戦ができるところでしたが、再渡米すら叶わなくなってしまったことです。
コロナ禍では、やはり国境のボーダーがさらに高くなってしまいました。
収束に向かい渡航が可能になれば、また挑戦をしていきたいと思います。
藤野:
私は犬を飼い始めました。
キャンプをしながら犬と自然を楽しむことは、ある意味人間性の回復に近いのではと感じています。
また、東京の自宅を手放しました。
しばらく逗子と東京の二拠点生活をしていましたが、東京にあるものを残しておくという思考や考え方が、昔のものに固執する象徴になるのではないかと感じ、思い切って逗子のみの生活に切り替えました。
「自分は東京以外のところを盛り上げることにシフトしていこう」と決断できたことが何よりです。
2021年はどのような年にしたい?
山井:
日本の会社の邪魔にならないようにしたいと思います。
ワクチンができたら春には再渡米して、アメリカの事業リスタートの年にしたいです。
日本にいる間は日本の渓流にたくさん行き、雪上キャンプもしたいと思います。
スノーピークも変化に対応しながら、藤野さんたちレオスと同じように居続けたいと思います。
藤野:
私はもっと野遊びをしたいと思います。
最近庭でキャンプをできるようにしました。家でも野遊びができれば、休みでエネルギーを貯めて、平日は仕事に集中し、オンとオフをしっかりつけられるのではと思います。
山井:
日本の投資をしている人が良い環境にいられるのは日本の社会もよくなるということではないでしょうか?
藤野:そうかもしれませんね!
私たちが投資をする上で最も伝えたいことは、「株価」に投資しているのではなく、「会社」に投資をしていて、会社に投資をするという背景には、その会社の思想や考え方、経営者や人が大きいということです。
皆様には、私たちがどういう観点で人や会社を見て、結果的に大きなリターンにつながっているかを知ってほしいと思います。
私は、これからアメリカに出ていくスノーピークが、今後日本のキャンプを世界に伝えていくというストーリーに期待しています。
その会社のやりたいことを見て、レオスは一緒についていき、応援していく。
それが健全な投資家と会社の在り方ではないかと思います。
藤野:
今日の対談を通じて、お客様にエールのようなひとことがあったら、ぜひお願いします。
山井:
レオス・キャピタルワークスさんという良い会社が日本のマーケットに居てくださってよかったなと思いますし、トップが藤野さんで、投資家はこうあるべきだな、という路線をいっています。
業界の中では、本物がゆえに変わり者だと言われていますよね(笑)
藤野:
そういう意味では一緒ですよね?
山井:
そういう人だけが未来をゲインする(得る)ことができると思いますし、スノーピークもそうありたいと思います。
動画はこちらから
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今回ご参加いただきました皆様、ありがとうございます。
ひふみアニュアルミーティング2020では、初のオンライン開催ということで、私たちも新しい挑戦をしてまいりました。
2021年のアニュアルミーティングはお客様と直接お会いできることを願って、ひふみはこれからも全力を尽くしていきます!
※当記事のコメントは、個人の見解です。当社が運用する投資信託や金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。
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