新米アナリストが見た!~ひふみのアナリストの姿~
当社のアナリストが過去の取材ノートを紐解き、振り返りながら1歩先の未来を考える「アナリストの取材ノート」。
今回は番外編として、2022年の4月にレオスに入社し、ひふみの株式運用を担う株式戦略部に配属された新米アナリスト・松本の登場です。日々先輩アナリストと取材同行やミーティングに参加する松本が、ひふみの調査の現場で得た学びや体感したひふみの運用の強み、おもしろさをご紹介いたします。
するとともに、多様な価値観を持って調査を行なう運用メンバーの姿についてもお伝えしてまいります 。
<プロフィール>
2022年、東京大学経済学部を卒業後、新卒でレオスに入社。株式戦略部にて国内株式を中心に企業調査を行なう。サバの刺身とシュークリームが好物。
はじめまして!2022年4月にレオス・キャピタルワークスに入社いたしました、松本凌佳(まつもとりょうが)と申します。
突然ですが、皆さんは「今後の日本を支えていく成長企業はどこですか?」と言われたら、どのような企業を思い浮かべますか??
日本には約3,800社の上場企業をはじめ、規模に関わらず無数の企業が存在するので、難しい質問かもしれません。
ですが、そんな問いと日々向き合っているのが投資信託「ひふみ」 シリーズの運用メンバーです。
私たちレオス・キャピタルワークスは、主に日本の成長企業に投資をする「ひふみ投信」をはじめ、日本以外の成長企業に投資する「ひふみワールド」、債券を含めたバランスファンド「ひふみらいと」を運用しています。
日本の上場企業約3,800社を中心に海外の企業も含め、企業の方への取材をはじめとした情報収集・分析を通じて、長期目線での投資可能性を日々考え続けているのがひふみの運用チームです。
長期投資のための取材のキホン
長期的な企業の成長を見据えて投資をするひふみの企業取材は、とてもユニークです。
企業の取材と聞くと、四半期業績や月次、業績予想の数字や今期の施策の見込みなどを一つ一つ掘り下げるような取材をすることを想像してしまうかもしれません。
しかしながら、ひふみの運用チームの取材は、話をしてくださる経営者の方 と向き合うことを基本としています。その方のこれまでのご経験や人生において大切にしていることなどについてもお話をお聞きしながら、企業の真の姿について理解を深めていきます。
情報密度の高い時間
長期的に成長する企業を発掘するためにアナリストやファンドマネージャーがどのような取材をしているかという視点でみると、実は、運用メンバー1人1人の取材スタイルにも多様性があるように感じました。
メンバーそれぞれの個性や、価値観、意見の違いが、取材スタイルの違いとなっているのでしょうか。
今回は、シニア・アナリストの小野(2022年9月まで在籍)さんと大城さんが企業の方との対話からひふみの運用の現場を掘り下げてまいります。
例えば、小野さんの取材は、取材相手と思考を重ねるようにして、情報密度を高めていきます。
通常、取材する企業が開示してくださっている情報を頭に入れた上で、もっと知りたいと思う点について話を掘り下げていくので、取材中は事業内容・事業の強み・成長戦略・成長可能性と、猛烈な速さで話題が移り変わっていきます。
そんな取材の中でも、小野さんの質問は非常にわかりやすいです。
何を知りたいのかはもちろん、なぜそれを知りたいと小野さんが考えているのかまで、質問の言葉だけで理解できてしまうほどです。
企業の方もそれに応じてさらにわかりやすく回答・議論してくださるため、情報の交換がものすごい効率で進んでいきます。
同席している私は、目の前で行われる情報交換の密度があまりに高く、毎回のように鳥肌が立ちます。
雰囲気が明るい取材
また、小野さんの取材は「明るい雰囲気づくり」から始まります。
取材の最初に、「会社のことについてあなたを通じて知りたいと思っている」ということがビシビシと伝わってくるような対話や質問をします。
小野さんの取材に同席した際には、こうした小野さんの対話の力に助けていただくことが何度もありました。
例えば、ある企業への取材でこんなことがありました。実際の会話をご紹介します。
御社の社史が出版されていたので読ませていただきました!○○の箇所が非常に興味深かったです!社内でも好評でしたか?
と、私の場合、取材の中でその後の話が広がらずにお互いに無言になってしまうことがありました。
おそらく話題を間違えてしまったのでしょう……。
そんな時、同席している小野さんがスッと話題を変えて笑顔で満ちていて、時折笑い声が聞こえてくるような柔らかな雰囲気に戻してくれました。
私も昔から新作が出るたびに買っているんですよ~
経営者の方への取材でも、IRの担当者さんへの取材でも同じように明るい時間が流れます。
「まずは目の前の相手と真摯に向き合うことから対話を始め、相手の好きなもの・大切にしていることを通じてその企業のことを知ろうと対話をする」。
振り返ってみると、この姿勢は、ひふみの多くのアナリスト・ファンドマネージャーの取材に同席する中で、共通して感じたところでした。
先入観を排除した取材
シニア・アナリストの大城さんは、先入観を排除して、徹底的に企業の方の「当たり前」を確かめていくような取材をされます。
この取材の中で、私は、消費者目線で保証期間いっぱい使用することが「当たり前」だと思っておりました。
しかし、その会社のその製品については、「当たり前」のことではなかったのです。
幅広い業種の様々な企業に取材させていただくと、思いもよらない所にこういった「当たり前」、言い換えると私たちの将来予測を妨げる思い込みの罠があります。
我々は取材相手の企業で働いているわけではないので、相手のことを100%理解しようと思ってもどうしても限界があります。
それゆえ、足りない情報は無意識に想像で補ってしまう部分もあると思います。
大城さんはそういった思い込みをできるだけ排除して、できる限り正確に、相手の企業のことを理解できるよう、取材をしていきます。
企業への質問内容は、取引先との力関係、数年前の売上増加の理由、販売先業者に変化がないか、新しい販売地域の顧客層、集客方法などなど……。
大城さんは、幅広く、丹念に企業の方のお話に合わせて、質問を投げかけていきます。
大城さんの取材は時間がたつほどに質問が積み重なり、建造物が出来上がっていくようにさえ感じるほどです。
そのため、大城さんの取材に同席した後は、取材先企業の長期業績のモデルが非常に組みやすいです。
一回の取材で、こんなにも企業の事業の解像度を高められるのかといつも驚かされています。
このように共通して大切にしているものがある一方で、長期的な視点で投資先を見ている運用メンバーが行なう取材は、実に個性豊かです。
投資先と真摯に向き合うことを大切にしながら、それぞれのメンバーがそれぞれの視点から長期的な成長可能性を検討し、投資ストーリーを組み立てていきます。
組み立てた投資ストーリーは毎朝運用チームが行なっている「朝会」で共有され、それぞれが自身の意見にのっとって議論をしたのち、ポートフォリオへ組み入れるかどうかをファンドマネージャーが判断します。
様々な視点を持ったアナリストやファンドマネージャーがそれぞれ自分の中で投資ストーリーを再構築し、議論していく光景はとても刺激的です。
お客様に喜んでいただけるアナリストを目指して
レオスでは、入社後3か月間の新卒研修の期間があります。
研修期間中は、金融業界特有のコンプライアンスに関する研修をはじめとして、チューター・メンターの先輩に相談しながら、配属部署の業務について理解を深めてきました。
株式戦略部に配属された私は、アナリストとして必要なスキルを身に付けるため、4月からの3か月間、様々な先輩の取材に同席していました。
小野さん、大城さんをはじめとして、他にも多くのアナリスト・ファンドマネージャーの取材に同席し、この記事に書いたこと以外にも様々な心構え、取材技術を教えていただきました。
それらの心構えや技術も、私すぐにでも真似すべきものから、数年を費やしてでも身に着けたいもの、模倣が困難な感覚的なものまで、とても幅があったと感じています。
私もひふみのお客様に喜んでいただけるような運用に貢献するため、これからも日々の取材・リサーチに取り組んでまいります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※当記事のコメントは、個人の見解です。当社が運用する投資信託や金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。
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