新米アナリストが見た!~ひふみのアナリストの姿~ 2
当社のアナリストが過去の取材ノートを紐解き、振り返りながら1歩先の未来を考える「アナリストの取材ノート」。
今回も引き続き、2022年の4月にレオスに入社した新米アナリストの松本が、ひふみの調査の現場で得た学びや体感したひふみの運用の強み、おもしろさをご紹介いたします。
<プロフィール>
2022年、東京大学経済学部を卒業後、新卒でレオスに入社。株式戦略部にて国内株式を中心に企業調査を行なう。よだれ鶏ともつ鍋が大好物
前回は、ひふみが大切にしている長期投資のための取材哲学を紹介した上で、当社のアナリストによる取材の特徴を紹介いたしました。当社のアナリストを身近に感じていただけましたでしょうか?
今回は、2022年8月に株式戦略部メンバーの米国出張で、取材に同行する中で感じた各アナリスト・ファンドマネージャーの強みを紹介いたします。
ひふみをもっと身近に感じていただけると嬉しいです。
ひふみメンバーの米国出張
今回の出張は8月下旬から、ひふみのアナリスト・ファンドマネージャーがロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨーク、シリコンバレーなど全米各地を訪問して、現地企業の事業環境の調査・アップデートを行なうというものでした。
単に調査するだけではなく、当社のニューヨークオフィスにアナリスト・ファンドマネージャーが集合し、情報交換や現地の金融機関に勤務するアナリストやストラテジストとのミーティングなども実施しています。
その後も、普段から米国を中心に調査を行なっている「ひふみワールド」のアナリスト・ファンドマネージャーは米国に残り、引き続き現地の調査を続けました。
その中で私はロサンゼルスとニューヨークの企業取材に取り組みました。
ロサンゼルスに向かう際、私はシニア・アナリストの内藤さんと成田空港のターミナルで待機していました。
そうです。運用部の多くのメンバーがアメリカに向かう一方で、全員が一緒に行動するというわけではないのです。
私は初めての海外取材ということで、内藤さんと同じ飛行機で移動していました。
しかし、今回の出張でも、それぞれのアナリスト・ファンドマネージャーは、自分で調査計画を組み立てて最高の成果を挙げられるよう、最適な移動経路で、移動されていることがほとんどです。
こうした出張の移動のやり方の中にもレオスの自主性を重んじた自由なイメージを感じました。
内藤さんと空港のターミナルで、最近取材して面白い変化があると感じた企業の話をしていると、見覚えのあるおしゃれな方が通路を歩いているのを見つけます。
湯浅さんもサンフランシスコに向かう途中のようです。
私、そして内藤さんと力強く握手をして、別の乗り場に向かっていきました。
湯浅さんと握手をした後には、私も内藤さんも、心の中で福の神に会ったように感じていたと思います。
レオスバリューの一つである一日一笑を体現されている湯浅さんと握手したことで、米国取材に全力で取り組むためのパワーをもらうことができました。
ロサンゼルス到着後、すでに現地入りしていたシニア・ファンドマネージャーであるウェイさんと合流して3名で小売店舗を見学しました。
知的好奇心を爆発させる現地取材
最初に行なわれたロサンゼルスの企業調査では、現地在住の小売の専門家をお招きして、ロサンゼルスの食品スーパーから総合スーパーまで、実際の店舗を回りながら、特徴や歴史まで幅広く紹介していただきました。
小売店舗見学で印象的だったことは、シニア・ファンドマネージャーのウェイさんの質問量です。
この商品は日本よりもだいぶサイズが大きいですね。なぜでしょうか?
棚面積が日本とぜんぜん違いますね!こんなにニーズがあるんですか?
先程の店舗と陳列方法が違いますね!どうしてこのような違いが生まれるのでしょうか?
どれも単純な答えがあるような問いではなく、企業のビジネスモデル、米国の商習慣、文化や歴史に密接に関係した質問で、専門家の方も非常に楽しそうに説明されていました。
一方でウェイさんは質問するばかりでなく、ひとつひとつの商品を食い入るように観察していました。
実際に商品をいくつも購入して、食べてみたり、使ってみたりしているウェイさんを見て、ひふみの『足で稼ぐ運用』という言葉を改めて思い出しました。
ウェイさんはお客様向けの説明会などでも、知的好奇心が自分の強みだと話されています。
店舗見学の最中も「時間が足りない!」と言わんばかりにキラキラと目を輝かせながら、興味の対象を次から次に動かしていました。
実際の運用の現場でも、ウェイさんが提案する投資アイデアは、どこでこんなアイデアを見つけてきたのだろうと思うような目新しいものばかりです。
知的好奇心を軸にあらゆる情報を収集しながらも、素朴な疑問を徹底的に掘り下げるというマインドセットが、ユニークな投資アイデアの発掘に結びついているのだと感じました。
ここからは実際に行った店舗についていくつか紹介します。
こちらはロサンゼルスに展開する高級志向のスーパーのErewhon Marketです。いわゆるオーガニックな食品を多数取り揃えていることが特徴です。
写真を見ていただくとわかるのですが、日本とは商品の陳列の仕方が違って面白いですよね。
後ほど紹介するスーパーでは果物がこんなに整然と並んでいないので、陳列の様子からも高級スーパーとお分かりいただけると思います。
では、このような高級スーパーは一体どういう場所に立地していて、どういうお客さんが来店しているのでしょうか?
こちらの店舗の場合、ロサンゼルスの高級住宅街に位置していて、テック企業に勤める高給エンジニアなどが多く利用しているのではないかという印象を受けました。
周辺にテック企業のオフィスが次々にできたこと、周辺の地価が上昇したことなども高級スーパーが立地しやすい状況を作ったのかもしれません。
この辺りはロサンゼルスの中でも特に地価が高いようで、一軒家も庭がほとんどないことが多かったです。米国とはいえ、地価が高いと土地を遊ばせることも少なくなるように感じました。
続いてこちらはロサンゼルスで100年以上続くスーパーマーケットチェーンのRalphsです。先ほどの店舗よりも大衆向けのスーパーになります。
青果の積み方が先ほどよりもカジュアルになっていますね。ひとつひとつピラミッドのように積まれていた青果がゴロゴロと並ぶようになりました。
商品価格も一段と安くなり、食品を大量購入している方が先ほどより多いと感じました。
このスーパーの近くにまで来ると、先ほどの高級住宅街よりも地価が安くなるようです。
周辺の一軒家にも家がもう一つくらい入りそうな庭がついていることが増えてきました。
Erewhon Marketで果物が密に配置されていた要因には、陳列効率の問題も関係しているのかもしれません。
最後の写真は、皆さんも聞いたことがあるであろう世界最大級のスーパーマーケットチェーンWalmartの店舗で撮影したものです。
高級住宅街からはかなり離れていて、商品価格もかなり下がった印象を受けました。日本と変わらない値段か、むしろ安く買える商品もあったくらいです。
客層の違いもはっきり表れていました。オーガニックのスーパーの周りは健康に気を遣っているであろう方が多い印象を受けました。Apple Watchをつけている方が多かったり、カゴの中に野菜や果物をたくさん入れている方が多かったりしたので印象的でした。一方でディスカウントスーパーに来ると、ジャンクフードやお菓子を大量購入されている方がたくさんいて、子供の頃に見ていたアニメの中の、アメリカ文化を感じる描写を思い出しました。
実のところ、この店舗に来て初めてアメリカに来たと感じ少しうれしく思いました。
※当記事のコメント等は、掲載時点での個人の見解を示すものであり、市場動向や個別銘柄の将来の動きや結果を保証するものではありません。ならびに、当社が運用する投資信託への組み入れ等をお約束するものではなく、また、金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。
同じタグの記事を検索
#ひふみのストーリー
#アナリストの取材ノート