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ひふみアニュアルミーティング2021 EVENT REPORT ②「こんまり®メソッド」のプロデューサーに学ぶ グローバルで価値を見出す、育てる方法(前編)

お片づけの達人と言えば、こんまり®メソッドでお馴染みの近藤麻理恵さん。今回は麻理恵さんのパートナーであり、プロデューサーでもある川原卓巳さんをお招きし、当社のシニア・ファンドマネージャー高橋と共に「『こんまり®メソッド』のプロデューサーに学ぶ グローバルで価値を見出す、育てる方法」と題しまして、ひふみアニュアルミーティング「ふ」会場ランチタイムセミナーを行ないました。このセッションのレポートはダイレクト営業部所属の学生アルバイト藤野菜々歩が務めます。

川原卓巳さんプロフィール
Konmari Media inc. CEO、プロデューサー

1984年広島県生口島生まれ。大学卒業後、人材教育系の会社に入社し、のべ5000人以上のビジネスパーソンのキャリアコンサルティングや、企業向けのビジネス構築・人材戦略を行う。近藤麻理恵とは学生時代からの友人であり、2013年以降は公私共にパートナーとして、彼女のマネジメントとこんまりメソッドの世界展開のプロデュースを務める。2016年アメリカ移住後、シリコンバレーとハリウッドの両方に拠点を置きながら、KonMariのブランド構築とマーケティングを実施。日本のコンテンツの海外展開なども手がける。2019年に公開されたNetflixオリジナルTVシリーズ「Tidying Up with Marie Kondo」のエグゼクティブプロデューサーでもある。同番組はエミー賞2部門ノミネートされた。
■Twitter:https://twitter.com/takumikawahara?s=11
■書籍:https://onl.la/6PrAfMD

私自身も近藤麻理恵さんの冠番組の視聴をきっかけに、実際にこんまり®メソッドに従ってお部屋の片づけをよく実践しています。またセッションのテーマである「グローバル進出」や「英語力の問題」などは国際系の大学に通う私にとっても身近なテーマであり、共感する部分をたくさん見つけることができました。川原さんによる麻理恵さんのプロデュース、そしてグローバルな舞台で成功させた経緯を紐解いてまいります!



左が川原卓巳さん 右が当社シニア・ファンドマネージャー高橋

グローバル進出の先輩に学ぶ

高橋:
こんまり®さんと言えばお片づけで有名な方ですが、最近ではNetflixで『KonMari ~人生がときめく片づけの魔法』が大ヒットとなり、アメリカでも注目を浴びています。レオスもグローバルファンド設立とともにグローバル化を進めていくというフェーズにあり、私自身もグローバル株の運用に携わっています。先にグローバル進出をしている先輩方として、近藤麻理恵さんと公私ともにパートナーであられる川原さんのお話を聞きたいと思いお呼びいたしました。よろしくお願いします。


川原さん:

そのご紹介だととてもハードルが高くなりますが……(笑)ありがとうございます。近藤麻理恵という「5歳から片づけをしている片づけのプロフェッショナル」と言えば聞こえがいいですが、一種の「片づけの変態」である麻理恵さんの夫として、またプロデューサーとして、彼女が生み出した一つひとつの物を手に取ってときめくものだけ残していくというこんまり®メソッドを世界で展開するというビジネスを行なっております。

仕事のモチベーションも「ときめき」から

高橋:
川原さんが近藤麻理恵さんのプロデュース兼マネージャー業をするようになったきっかけを教えてください。

川原さん:
そもそもの出会いは同級生であり就職活動のイベントで名刺交換をしたところから始まりました。そこから社会人経験を経て、お付き合いさせていただくことになりました。当時すでに麻理恵さんは処女作であり代表作である「人生がときめく片づけの魔法」のミリオンセラーで成功している状態でした。しかし、彼女の話を聞いている中で、もともと彼女は多くの人が片づけを通して幸せになって欲しいというのが本来の願いであったはずが、多くの仕事が舞い込みその問い合わせの対応などに時間を取られ、実際に片づけに出向く時間がないなどの様々な悩みを抱えていることがわかりました。当時コンサルタントをしていた私が彼女のボランティアとして彼女のビジネスを理解して設計していくことから始まったのがきっかけです。

高橋:
麻理恵さんとプライベートにおけるパートナーだけでなく、ビジネスのパートナーとなったわけですが、麻理恵さんのプロデュース業に対して「これならできる」という自信があったのか、それともお願いされたからしょうがなく始めたのか、そのあたりビジネスが軌道に乗り始めるまでの心情の変化などをお伺いしたいです。

川原さん:
最初から勝ち筋が見えていたわけではありません。ただまずは何をしたら良いのか理解するために、彼女の片づけの現場に赴きました。私はゴミ袋を差し出すという役を引き受けていたのですが、お客さんが物を手放す瞬間に泣きながら、けれども人生を確実に良い方向に変えていけた瞬間に出会いました。それを見たときにとても鳥肌が立ち、自分の中での片づけに対する考え方が変わり、麻理恵さんは本当に人生を変えていく仕事をしているんだなと理解しました。また同時にこれが今後世の中をもっとよくしていくという具体的なイメージを持つことができました。
とてもアーティスティックであり職人気質を持つ麻理恵さんに変わって、私がメールの返信など事務的な手続きをすべて引き受け、どんどん生産性を上げていきました。仕事が増えてきたことにより私自身も麻理恵さんのマネージャー業に専念することになり、当時勤めていた会社を辞めることとなりました。

高橋:
職人気質な麻理恵さんとありましたが、実際にビジネスとして成功するためにどのように麻理恵さんをマネジメントしていったのでしょうか?

川原さん:
そこは本当に難しいところでした。これは芸能人がビジネスを作っていく上でぶつかる一つの障壁だと思いますが、本人の感性とビジネス的に成功するかどうかが必ずしも一致しない、またはむしろ阻害してしまうというケースが多くあります。その上で麻理恵さんの場合に大事なことは、本人が何に「ときめく」のか、何を叶えていきたいのか、を最優先にし続けることでした。彼女の、これもまたクレイジーな夢ですが、「日本を片づけ終わりたい」という夢を第一に、そこからビジネスを設計していくことで、彼女の価値の永続性を確保していきました。戦略にいきなり進むのではなく、一番最初の何に「ときめく」かを端折らず常に彼女のエネルギーの源にアクセスし続けることを大事にしました。職人である麻理恵さんのやる気をそがず、同時にビジネス的に成功するためには、彼女自身が仕事に対して「ときめく」状態であることが重要であったのです。

麻理恵さんの片づけメソッドの「ときめき」は、麻理恵さんご本人が仕事をする上でも重要な要素であったことに気づいた川原さん。たしかに「ときめき」は本来、お片づけをする上での物に対してだけでなく、人や仕事に対しても大きな指標となりますよね。



川原さん:

幸いなことに私の場合は共同創業者が財務面を管理していたため、経営者としてよりはプロデューサーとしての役割が大きかったです。一番自分の役割として重要だと感じていたのは、麻理恵さんに一番近い立場である者としてのマネジメントです。職人である麻理恵さん本人がときめく状態であるかどうかをしっかりと把握することがビジネスを設計する上でのすべての根幹です。夫婦関係にあったからこそ、ここまで立ち入ってマネジメントできたとも言えますが、逃げ場がない状態でやっていくのはおそらくとても難しいことだとも思います。上からも下からも攻めてくるテトリスのようですね(笑)

公私のパートナーとして両攻めのテトリスを上手に崩していける、そんなお二人の間柄はなかなか真似できるものではありません。逆に言えば公私のパートナーだったからこそ、麻理恵さんの価値を最大限発揮することができたのかもしれませんね。

盛り上がって予定時間をオーバーした川原さんと高橋のセッションですが、後編では川原さんと麻理恵さんが直面した言葉の壁とこれから目指す先について語っていただきました。

後編につづく。

※当記事のコメントは、個人の見解です。当社が運用する投資信託や金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。