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次の10年は新たなステージを目指す ひふみプラス10周年 藤野英人インタビュー

販売してくださる販売パートナーの皆様、保有してくださるお客様に支えられ、ひふみプラスは2022年5月28日に運用開始から10周年を迎えることができました。

最高投資責任者の藤野英人にインタビューを行ない、ひふみプラス運用開始時の想いや、これからの10年のビジョンをききました。

国民的投資信託を目指して

―2012年、間接販売の「ひふみプラス」の運用をスタートしました。レオスは当時直接販売にこだわり「ひふみ投信」を販売していましたが、間接販売を始めようと思った背景にはどのような想いがあったのでしょうか?
多くのお客様の資産形成をサポートする国民的投資信託を作りたいというのはひふみ投信をスタートしたときからの想いです。
「ひふみ」という名前にしたのも、ひらがな表記でやわらかく、分かりやすそうなイメージを抱いていただくことで、親近感を持てるものにしたいと思ったからでした。

僕が思っている「良い投資信託」というのはお菓子の「ポッキー」のような商品です。誰もが知っていて、多くの人に愛されて、どこでも買うことができて、そして味も常に一定のパフォーマンスを期待できるのがポッキーです。
ポッキーがどうして多くの人にとって身近なのかと考えると理由は明確で、「どこでも買えるから」ですね。電車に乗っていても車内販売やKIOSKで買える、コンビニエンスストアで買える、スーパーで買える。
誰もが知っていて幅広く買っていただける商品になるには、お客様にとって「近い」場所にあることが国民的投資信託になるためには最も重要なポイントではないかと思います。

―「近い」というのは場所という意味ですか?
「近い」にはいくつかポイントがあります。住んでいる地域の近くにある銀行さんや証券会社さんなど「物理的に近い場所」が一番近いと感じる方もいれば、今ではネットを介した方が近いと感じるという方も多いですよね。そういう方はネット証券に口座を開くのが最も近い場所となりえます。多くの人に手に取ってもらえる、投資をしてもらう機会を作るためには良い運用をしてお客様のお金を長期的にふやして、かつ皆さんの近いところに存在したいと思い、間接販売のひふみプラスを作りました。

―ひふみプラスの販売を開始した当初はどのような反応がありましたか?
当初から僕らの意図や気持ちが広く伝わったわけではありませんでした。当初はSBI証券さんだけで取扱いいただいたということもあり、お客様はひふみがSBI証券さんで買えるようになったんだ、くらいの感じでしょうか。全国に広がっていくイメージはまったく持っていなかったようでしたね。

そのイメージが徐々に変わっていったのは、地方銀行さんでの販売を増やしていけたところからです。最初は兵庫県の但馬銀行さんに採用していただき、それから秋田銀行さん、ふくおかフィナンシャルグループさん…と、全国の地銀さんにひふみプラスを取り入れていただいて、それぞれの地域で販売していただけるようになりました。
それに伴って僕らの投資・運用に対する想いがだんだんとお客様やパートナーさんにも伝播することができたと思います。

投資文化の土台づくり

―この10年で世の中の投資へのイメージも変わってきていますよね。その中でひふみプラスが貢献できたのはどのようなことでしょうか?
僕らがどれだけ貢献できたのかはわからないけれど、つみたてNISAでひふみプラスを採用いただいたのはとても大きかったと思います。つみたて投資をして、また投資をすることによって利益を得る可能性がある、という成功体験をたくさん作ることができました。

それから2021年の1月には、YouTubeで「お金のまなびば!」というチャンネルを作りました。現在約20万人のチャンネル登録数ですが、「投資文化」「投資の意味」をよりアピールできるようにして、これを20万人、50万人、100万人というレベルまで行けたらいいなという風に思っています。

―現在は88社(2022年5月末時点)のパートナーさんがひふみプラスを販売してくださっています。
全国各地でひふみプラスを販売いただいているので、そこに僕や湯浅さんも営業部の五十嵐さんたちと一緒に現地に行って担当者の方とお話しします。
そうすると、全国のお客様にひふみを販売いただいている現場の営業担当の方との出会いがあります。様々な地域、地域のお客様、その土地の会社との交流の中で貴重な体験をさせていただきました。ほぼ日本中どこでもひふみで投資をできるようになったということに関しては感慨深いものがありますね。

―全国各地を巡ってみて感じたことは?
なんとなく地方銀行というとその枠組みのなかで同じように見えるかもしれないのですが、地銀ってその地域の文化が作っているので、全然違うんですよ。似ているところもあるんだけれど、北海道の地銀さんと沖縄の地銀さんではベースの文化が違いますし、そこで働いている人も地域の人だから、同じ地銀であっても地域性が出てくるんですよね。
お客様でいうと、不思議とひふみのお客様が多いのは日本海側や雪が降る地域なんです。ひふみの「長期・つみたて」という考え方が、大量の雪が降るような土地で乗り切っていく我慢強さがマッチしているんでしょうか。「リンゴができる場所が得意で、ミカンができる場所が苦手」というのがひふみの特徴です(笑)

ファイナンシャル・インクルージョンを目指して

―これは偶然だと思いますが、ひふみプラス10年のタイミングでファンドマネージャーを佐々木さんに交代ました。藤野さんはこれからのひふみにとってどのような立ち位置になりますか?
役割を変えてはいますが、ひふみに責任を持っているという面では全く変わりません。ただ、これまでは僕自身が機長で操縦桿を握っていたのが機長ではなくなったという点は大きな変化かもしれません。しかし、僕自身が飛行機の安全運転の責任者となります。責任が何もなくなったわけではなく、前以上にずっしり肩にかかっているということになります。その責任を感じつつ、新たなステージでのひふみ、レオスを支えながら、皆様の資産を増やしていきたいと考えています。

藤野から佐々木・ウェイへ

―現在ではバランスファンドの運用・販売、本格的にファイナンシャル・インクルージョンの実現に向けて。その中で、ひふみプラスの今後はどのように考えていますか?
ひふみプラスは主に日本株を中心とした投資信託です。食事に例えると日本における「ごはん」のような存在だと思っています。ローカーボダイエットが流行ったように最近は「ごはん抜き」のようなポートフォリオも流行ってきて、世界株やアジア株などを中心としたものが出てきていますよね。ただ、日本株、お米というのは日本の一つの価値でもあるので、ポートフォリオの全部じゃなくてもいいのだけれども、一部の商品、もしくはコア商品の一部として長く持っていただきたいと思います。

―その理由は?
やはり、母国であるということだけでなくて、日本人が一番日本の会社の良さを発見できるのだと思います。外国の運用会社もたくさんありますが、やっぱり僕らは日本に根差した会社ですから、より良い会社を発掘できる可能性が高いと思いますし、そうでありたいと思います。

僕らが発掘した企業群が伸びて成長すれば結果的に雇用が生まれ、売り上げが増え、税収も増え、そして国がゆたかになる循環をつくることができます。そういう面では日本の会社に投資することはこれからも変わらず価値があることだと考えています。


―最後に、全国のパートナーの皆様とひふみプラスのお客様にメッセージをお願いします。
今、ウクライナ問題があり、またインフレ懸念を背景にマーケットが厳しいものとなっています。その中でひふみプラスもなかなか最高値を更新できない状況になっています。しかし、マーケットは必ず上がったり下がったりします。今あるどのような問題も時間が解決してくれて、必ず良くなると思っています。

そのようなときに大事なのは、つみたて投資のようにいい時も悪い時も継続して投資をすることが大事だということです。私たちは、長期で信頼していただけるように努めますし、きっと私たちは結果を出せると信じてこれからも全力を尽くして運用します。これからも皆様に信じて託していただけると嬉しいです。