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投資信託はどう選ぶ?投資信託のパフォーマンス比較を考える(前編)【投資と上手に付き合う方法 #11】

投資運用会社レオス・キャピタルワークスの社員である友利が、SNSなど皆様の身近なところで目にする投資信託に関する話題から、投資と上手に付き合う方法を考えていく連載です。連載を通じて、皆様の投資や投資信託に関する理解が深まることを目指しています!前回の記事はこちら

この記事のポイント

  • パフォーマンス比較を考える
  • まずは期間を合わせる
  • リターンだけに注目するのは要注意
  • 同じ株式ファンドでもリスクの大きさが違うことも
  • リスクを考慮した指標もある

<プロフィール>
友利 駿介(ともり しゅんすけ)
沖縄県宜野湾市出身。
大学卒業後、2016年から国内大手資産運用会社で勤務した後、レオスやひふみの理念に共感し、2019年レオスへ転職。レオスでは経営企画を経験した後、現在は営業本部付。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。

パフォーマンス比較を考える

「投資と上手に付き合う方法」の第11回です。節目の10回を超えましたがこれからも頑張って記事を書いていきます!

さて、投資信託をどう選ぶかというのは究極のテーマですよね。選び方は人それぞれですが、せっかくなら何か賞を獲っているファンドや、過去の運用成績(パフォーマンス)が優秀なファンドを選びたいという方も多いのではないでしょうか。

手前味噌ながら、今年も当社が運用する「ひふみ投信」が株式会社格付投資情報センター(R&I)が選ぶ「R&I ファンド大賞 2022」投資信託 10 年/国内株式コア部門で優秀ファンド賞を受賞しました。投資信託 10 年部門でひふみ投信は4年連続の受賞となります。

この賞は投資信託の過去のパフォーマンスを評価して贈られるもので、「シャープレシオ」という指標がパフォーマンス評価の基準として用いられています。そちらについては次回詳しくお伝えしますが、今回は投資信託の過去のパフォーマンスをどう計測したらよいのか、「投資信託のパフォーマンス比較」の基本から押さえていきたいと思います。

なお、過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスとは別物なので、パフォーマンスが良い投資信託を選んだからといって必ずしも良い運用成果を得られるというわけではありません。過去のパフォーマンスが良い投資信託を選んでくださいということではないので、この点はご理解いただければと思います。

まずは期間を合わせる

パフォーマンスを比較するうえで最も基本的なことは計測する期間を合わせることです。

良くも悪くも、どんなファンドでもパフォーマンスは市場動向の影響を多少なりとも受けるものです。比較する期間が異なると、そのファンドのパフォーマンスに影響を与えた市場動向も変わってきてしまうので、アンフェアな比較になってしまいます。

当社の投資信託であるひふみ投信は2008年の運用開始以来、+445.45%(2022年4月末時点)のリターンを上げています。一方、ひふみワールドのリターンは2019年の運用開始以来、+53.14%(2022年4月末時点)です。この2つの数値を見て、ひふみ投信の方がよりよいパフォーマンスだと結論付けるのは不適切だということです。

よりフェアな比較をするなら、両ファンドのリターンの計算期間を合わせる必要があります。例えば1年間だけのリターンを見ると、ひふみ投信はマイナス11.70%(2022年4月末時点)、ひふみワールドはマイナス0.98%(2022年4月末時点)です。このように、同期間の数値を比べるのがより適切な比較になります。

リターンだけに注目するのは要注意

リターン、つまり投資信託がどれくらい上昇または下落したのかということはパフォーマンス比較において非常に重要な指標です。多くの方にとって、投資はリターンを得るために行なっているものですから、リターンが高ければ高いほどよいというのは全く間違っていません。

しかし、リターンだけに注目して投資信託のパフォーマンスを比較するのが不適切な場合もあることには注意が必要です。
下の図は、ひふみ投信とひふみらいとの2021年4月末から2022年4月末までの1年間の投資信託の基準価額の推移を比較したものです。

基準価額の推移
※各ファンドの2021年4月30日の基準価額を10,000として指数化して作成しています。


グラフの形を見てお分かりになるとおり、ひふみらいとのグラフはひふみ投信のグラフに比べてなめらかな形をしていますよね。ひふみらいとは、ひふみ投信と比べてリスクが小さいという性質があるためです。

リスクの小さいファンドは、リスクの大きいファンドに比べ、マーケットが好調な時は上昇幅が小さく、マーケットが不調なときは下落幅が小さくなる傾向にあります。

基準価額の推移

※各ファンドの2021年4月30日の基準価額を10,000として指数化して作成しています。


先ほどのグラフで、赤く囲んだ期間は2ファンドとも基準価額が上昇していますが、このときはひふみらいとの上昇幅はひふみ投信に比べて小さいですよね。一方で、青く囲んだ期間は、2ファンドとも基準価額は下落している中で、ひふみらいとの下落幅がより小さくなっています。

つまり、リスクの大きさが異なるファンド同士をリターンだけで比較しようとすると、マーケットが好調だったかどうかが比較結果を大きく左右してしまうということです。できることなら同じくらいのリスクの大きさのファンド同士を比較したほうがよりフェアということになります。

同じ株式ファンドでもリスクの大きさが違うことも

なるべくリスクの大きさを同じにするということにも、さらに注意点があります。
一般に、株式は債券よりもリスクが大きい傾向があるのですが、同じ株式ファンドの中でも様々な要因でリスクが異なる場合があります。いくつか、リスクが異なってしまう要因を挙げてみたいと思います。

①銘柄分散・業種分散

「分散投資」と「集中投資」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、複数の銘柄や業種に分散して投資をすると、特定の銘柄や業種に集中投資をするよりもリスクが小さくなります。これを分散効果といいます。

特定の銘柄や業種に集中投資をすると、そのファンドの狙いどおりになれば高いリターンを獲得できる一方で、特定の銘柄や業種に逆風なマーケットになると損失が大きくなってしまうという傾向があるので、分散投資をしているファンドよりもリスクは大きくなる傾向があります。

②国・地域

投資対象の国・地域によってもリスクの大きさは異なる場合があります。
特に、先進国と新興国ではその違いが顕著になります。

新興国の場合、先進国と比べて経済基盤がぜい弱であったり、政治体制が不安定であったりというような背景から、急激な価格変動が生じる可能性があります。最近では、ロシアのウクライナ侵攻によってロシアが経済制裁を受けることとなり、ロシアに投資をしていたファンドの基準価額が急落するという出来事がありました。こういった突発的な事象も新興国リスクの一つです。

③レバレッジ

株価指数先物取引などを活用して株価指数の何倍かのリターンを目指すファンドも世の中にはあります。こうしたファンドをレバレッジファンドと呼ぶことがあるのですが、レバレッジファンドは一般のファンドよりも当然ながらリスクが大きくなります。

リスクを考慮した指標もある

以上、いくつか考慮すべきことがあって大変だと思われたかもしれませんが、投資の世界にはリスクとリターンのバランスを考慮した比較指標もあります。その中で最もメジャーなものが、冒頭でご紹介した「シャープレシオ」です。次の記事ではこのシャープレシオについてご説明したいと思います。

※当記事のコメント等は、掲載時点での個人の見解を示すものであり、市場動向や個別銘柄の将来の結果を保証するものではありません。ならびに、当社が運用する投資信託への組み入れ等をお約束するものではなく、また、金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。

※R&Iファンド大賞2022は株式会社格付投資情報センター(R&I)選定。評価基準日は2022年3月31日です。当該評価は過去の一定期間の実績を分析したものであり、将来の運用成果等を保証したものではありません。

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