日本企業の改革を投資家として支える意味【大変革!日本企業が迎えるターニングポイント】#2
2023年は、日本株にとって転換の年だといえるかもしれません。
日経平均株価※はバブル崩壊後高値を更新、ニュースではインフレや大手企業の賃金上昇が話題になるなど、どうやらこれまでとは様子が異なるようです。
日本株にいったい何が起きているのか?この流れは今だけのものなのか?
この連載では、レオスのエコノミストやファンドマネージャーが日本株の今と未来への考察を語ります。「日本株のことが気になるけど、よくわからない」「いまから買っても間に合うの?」といった疑問について、一緒に考えていきましょう!
担当:株式戦略部 ファンドマネージャー 内藤
聴き手:レオス営業部兼ひふみ営業部 三田村
10年後に化ける企業
10年後に変わる企業は、常にROEを改善し自分たちの企業価値を高めることができる企業だと思います。今の高いROEを5年、10年と維持できる企業かどうかを見極めたいです。それは、海外の投資家も同じ考えです。
先日、2週間ほどアメリカに取材に行ってきました。シリコンバレーの企業を訪問したのですが、スウェーデンやスイス、イタリアなど欧州の投資家も同行していました。その人たちは長期目線で投資できる企業を探している投資家です。
その時に私が、年初から日本株が好調なのを知っているかどうかを聞いてみると、「知らない」と言うんです。
どうして知らないのかと聞いてみると、「ROEが低いから」とのことでした。
海外の長期投資家は、収益性が低い企業にはそもそも投資できなかったり、興味がないんです。今後日本企業がROEを高めると、日本の投資家以上に海外の長期投資家が投資しはじめると思います。
日本株を支えるのは日本の投資家
東証改革によって企業の意識が変わっていますが、個人的にはそうした「改革」は東証でやることではないと思います。本来は個別企業が自発的に自分たちの経営課題に向き合い、ROEを上げて、企業価値を上げる。その結果、株価がついてくるのが理想の姿ではないでしょうか。
今回の東証の改革は日本市場にとっては最初の小さな一歩です。改革は始まったばかりなので、魅力ある市場になるまでには5年、10年かかってしまうかもしれません。
私が調査している日本企業でも、すでに変わろうとしている企業はたくさんあります。特に、サービスや商品に自信を持っていながら株価が割安なまま放置されている企業については、経営改革をしてROEを改善させ企業価値を上げようとしています。まだ小さなステップを踏み出したばかりかもしれませんが、それを支えるのは日本人投資家です。
日本株の成長を支え、投資先がより魅力ある企業になるよう並走するのが、ひふみのコンセプトですし、私の根底にもあります。日本人投資家が、日本株に魅力がないと思ってしまったら、海外投資家も来ないと思うんです。
日本を支えるようなグローバルトップを目指せる企業を日本人が支えて、海外投資家に売り込めるようなマーケットにしたいです。海外に向けて「日本にはこんなに魅力的な企業があります」と胸をはって発信する責任も、私たち投資家にはあると思っています。
ひふみの運用も今大きく変化しています。足で稼いだ情報をベースにROEを改善できる企業を発掘したい。オンラインではなく、直接CEOやCFOと経営戦略を話しています。
ひふみのアナリストは、グローバルトップの企業も調査しています。世界のトップを走る企業との面談で得た知見を日本企業のトップにぶつけることができるのもひふみの強みです。
企業分析に関しても、足元も把握しつつ、常に10年先の企業の未来を見据えながら行なっています。10年先の未来を皆さんにも直接語りたいので、これからオフラインイベントもやりたいですね。
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全4回にわたり日本株の変化と未来への考察をお伝えしてきました。
私たちは日本の投資家としてこれからも日本各地の魅力ある企業や人を発見し、皆様にリターンはもちろんワクワクを届けられる投資信託でありたいと思います。
>>>10年後を皆様と考える「ひふみ目論見倶楽部」 はこちらで情報発信中
>>>内藤は企業のどこに注目している?お金のまなびば!動画でみる
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