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はじめての投資ガイドブック #1

はじめまして。レオス・キャピタルワークスの酒井と申します。今回より「はじめての投資ガイドブック」という連載をします。
投資をはじめてみたいけど、何をすればいいか分からないという方や、怖くて一歩踏み出せないという方に向けて、できるだけ易しく、投資に取り組む方法をお伝えする連載です。
私は2021年に投資をはじめ、今年で投資歴4年目です。皆さんよりも少し早くに投資をはじめた自分の経験も踏まえ、皆さんが投資の第一歩を踏み出せるようサポートしていきます!

語り手・酒井プロフィール
学生時代に株式投資やFX取引をはじめるが、あまり上手くいかず、同時に始めた投資信託のつみたてのほうが、利益があがっていた。この経験から投資信託に興味をもち、2023年4月にレオス・キャピタルワークス入社。現在も資産運用は、投資信託のつみたてを中心に行っている。

投資って怖い?難しい?

突然ですが、皆さんは投資にどのようなイメージをお持ちでしょうか。複数枚モニターを並べて、金融マーケットにつきっきり。1分1秒を争う短期売買のイメージでしょうか。「損をする」、「怖い」、などネガティブなイメージをもたれる方もいらっしゃるかもしれません。

以下のグラフは、金融庁が2021年に実施した資産運用に関する意識調査結果です。投資未経験者3,645名に「資産運用」という言葉から、どのようなことをイメージするか、という質問に対する回答結果です。「専門的な知識を要する」、「損失を被るリスクが非常に高い」という回答が上位に並んでいます。


「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査結果」(金融庁) (https://www.fsa.go.jp/policy/kokyakuhoni/030630ishikicyosa.pdf)を基にレオス・キャピタルワークス株式会社作成

たしかに株式や債券といった金融商品は、現金と比較して価格が上がったり下がったりします。金融商品の種類によっては1秒単位で大きく変動するものもあります。また、戦争や災害など、経済や社会の予期せぬ出来事の影響も受けるため、将来の価格を正確に、百発百中で当て続けることはほぼ不可能といえます。やはり、投資は難しくて怖いものなのでしょうか。

投資と投機の違い

実際は、投資は誰もが簡単に始められるもので、難しく怖いもの、必ずしも大きく損をするものではありません。メディアの影響などもあり、短期間で勝ち負けを競うもの、というイメージをもたれがちです。実は、皆さんが想像するような、短期間の価格変化を予測し、上がるか下がるかに賭けて売買を行うことは投機(とうき)と呼ばれるもので、投資とは少し性質が異なるものです。


本来、投資はこれから価値が上がると思うものに、長期的な視点でお金を投じることを指します。また、投機が主に価格変化に着目するのに対し、投資では投資対象が、将来的に価値が上がるかどうかに着目して行います。投資はギャンブルのようにハラハラドキドキしながら行なうものではなく、じっくりコツコツ資産を育てていくものなのです。
株式市場には投機を目的に取引を行なう人もいますし、相場の上下を見て短期的に取引をするのが好きという方もいます。ですが、はじめて投資をやってみようという方にはまず、小さな金額でコツコツ長期的に投資に取り組むことをおすすめしています。このシリーズでは、長期的な目線での投資について深掘りしていきたいと思います。

下のグラフは、先ほどお見せしたアンケートと同じく「資産運用」という言葉から、どのようなことをイメージするか、という質問を投資経験者6,184名に実施した結果です。


「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査結果」(金融庁) (https://www.fsa.go.jp/policy/kokyakuhoni/030630ishikicyosa.pdf)をもとにレオス・キャピタルワークス株式会社作成


投資経験者の回答では、「価格変動に関わらず商品を長期間保有する」、「様々な商品に投資する」、という回答が上位にきています。投資経験者の方は、投資をしたことがない方と比べ、投資を長期の活動だと考えている人が多いようです。また、様々な商品に投資する=投資対象を分散することについても意識されているようです。さらに、「少額の資金でも始められる」という回答も上位にきていますが、実際に、投資は100円~1,000円くらいの少額から始めることができます。
さて、長期のほかに、「分散」というワードが出てきましたが、こちらも実は投資を行なう上でとても大切な考え方です。分散の考え方については、次回の記事で詳しくお話ししたいと思います。

投資で一番儲かったのは…

長期投資に関する興味深いエピソードがあります。米国のフィデリティ社という資産運用会社の運用担当者がとあるインタビュー※で話したエピソードなのですが、投資で一番利益を上げたのはどのような人か調べたところ、最も利益を上げた人は、自分が投資をしていることを忘れた人(口座をもっていることを忘れた人)だった、というものです。投資初心者の方は、短期の売買をくり返すよりも、購入してから投資したことを忘れるくらいの心もちで長く持ちつづけるほうが案外利益につながるのかもしれません。
(※参考:Myles Udland、Fidelity Reviewed Which Investors Did Best And What They Found Was Hilarious、BUSINESS INSIDER、2014-09、https://www.businessinsider.com/forgetful-investors-performed-best-2014-9、(参照 2024-06-10))

実際にレオスが運用を行なう、「ひふみ投信」を例に考えてみましょう。


※評価金額は日次の基準価額で算出。税金や受渡期間等は考慮していません。
※過去の運用実績によるシミュレーションです。


上の図は、
① 2008年10月1日に100万円分ひふみ投信を購入してずっと保有していた場合
②ひふみ投信の価格が20%下がったら購入、30%上がったら売却する

という投資行動を、100万円を元手に繰り返した場合の資産額の推移です。

①の購入しずっと保有していた場合は、100万円が745万円に上昇していますが、②の場合は288万円にしかなっていません。これを見ると、短期の売買をくり返すのではなく、長期で保有していたほうがリターンにつながりやすいと言えそうです。
逆に言えば、最初の商品選びさえ気をつければ、特別な投資判断を行なう必要はなく、知識が豊富でない人でもしっかりとリターンをあげられる可能性があります。また、マーケットの変化に合わせて売買のタイミングを図る必要がないのでそれほど手間はかからず、仕事や家事、育児などで十分な時間がとれない、という方であってもスタートできるのではないでしょうか。
ここまでをまとめると、投資は長期で資産をつくるものであり、必ずしも特別な知識が必要なわけではなく、誰でも少額から始められる資産形成の手段ということになります。

投資のもう一つの側面

投資は短期的な勝敗を競うゲームではなく、長期で資産をふやしていく活動であると説明してきました。投資が長期の活動であることには、もう一つ大きな意義があります。それは、投資先企業を長期に渡って支援すること、そして間接的に経済や社会をよりゆたかにする活動に貢献することです。
皆さんがある株式会社の株を買うことは、その会社の株価や、会社の規模を表すとされる時価総額を上げることにつながります。 株価や時価総額が上がることで、会社の信用度が上がったり、資金調達が容易になるなど、安定した経営をサポートするという面もあるのです。株価が上がることで会社はより事業に安心して取り組むことができるようになり、さらに幅広い社会課題の解決につながるかもしれません。
つまり、投資はお金儲けのためだけにする活動ではなく、投資先企業や、社会を応援することでもあります。長期視点の投資は、皆さんの資産形成に役立つことはもちろん、企業を応援し、明るい未来を創ることにつながるのです。

終わりに

長くなりましたが、今回の記事で最も伝えたかったことは、投資には必ずしも大きな資金や特別な知識が必要なわけではなく、誰でも始めることができるということです。お話した通り、投資は長期で資産を育てていく行為であり、お金儲けという側面のほかに、社会的な意義がある行為でもあります。少しでも投資への不安を取り除いて、「私でもできるかも」、と思っていただけるとうれしいです。

次回以降の記事では、投資する上で抑えておきたいポイントを、より詳細にお伝えしていきます。少しでも投資に興味を持った方、始めてみようかなと思った方は、ぜひご覧ください。


※当記事のコメント等は、掲載時点での個人の見解を示すものであり、市場動向や個別銘柄の将来の結果を保証するものではありません。ならびに、当社が運用する投資信託への組み入れ等をお約束するものではなく、また、金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。

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