水平分業からみる製薬や身近なテーマ【ビジネスモデルの変化に着目!成長する市場の探し方】#2
2024年は年初から日本株に勢いがあり、これから投資をはじめたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
日経平均株価※はバブル崩壊後高値を更新、ニュースではインフレや大手企業の賃金上昇が話題になるなど、どうやらこれまでの「デフレ経済」とは様子が異なるようです。
日本株にいったい何が起きているのか?この流れは今だけのものなのか?
この連載では、レオスのエコノミストやファンドマネージャーが日本株の今と未来への考察を語ります。「日本株のことが気になるけど、よくわからない」「いまから買っても間に合うの?」といった疑問について、一緒に考えていきましょう!
担当: 株式戦略部 ファンドマネージャー 大城
聴き手:レオス営業部兼ひふみ営業部 三田村
水平分業からみる製薬の分野
前回は水平分業が進む半導体の分野について解説しました。今回のテーマは製薬業界や、さらに身近なテーマです。製薬業界もここ20年くらいで分業化が進みました。
製薬会社は外部のスペシャリストに開発や治験などを委託し、薬をつくる流れになっています。ここでは、CRO(薬品の治験などを請け負う企業)とCDMO(薬品の製造を請け負う企業)についてみていきましょう。
ベンチマーク(赤色のグラフ)と比較して、あまり株価が伸びていない会社もあります。これは日本特有の事情が影響していると考えられます。日本は医薬品市場が縮小しているといわれていて、製薬会社にとって日本で薬をつくることがあまりメリットではなくなってきているのが原因です。そのため、薬の治験を行なうCRO企業の株価も伸び悩んでいるということです。一方でアメリカでは製薬の市場が拡大していることもあって、アメリカのCRO企業の株価は伸びていますね。
身近な水平分業の例
●チョコレート
お菓子メーカーは多数あるが、そのお菓子メーカーにチョコレートやカカオの原料を提供している会社は限られている。
●スープ
特定の専門企業が、食品メーカーやレストランにブイヨンやラーメンのスープなどを提供している。
●ミネラルウォーター
様々なブランドのミネラルウォーターが販売されているが、「水」に特化した企業が多数のPBブランドに水を提供している。
●印刷
出版社や新聞社の出版物を印刷するのは、印刷専門業者。
これまで様々な例をみてきましたが、投資家の目線で考えるべきポイントは「ビジネスモデルの転換点が、株価の転換点にもなりうる」という点です。垂直統合と水平分業のどちらが良いかという話ではありません。垂直統合のビジネスモデルで成功した企業もありますし、水平分業で業績を伸ばしている企業もあります。ビジネスモデルが変化すると企業の業績が劇的に変わり、株価も変化します。その変化をとらえ、成長企業を見つけていきたいですね。
これから水平分業で伸びる市場をどうやって見つけるのか
既にビジネスモデルの変化が起きている分野について、「これからもっと変化が起きそう」「この変化はもうそんなに続かないかも」といった観点で考えてみるとよいのではないでしょうか。ゼロから新しく起きるかもしれないビジネスモデルの変化については、正直なところ投資家目線では見極めるのが難しいと思います。そんなチャンスがわかるのであれば、起業した方がいいですしね。
私が日頃から購入している商品やサービスにも「水平分業」が隠れているかもしれないと思うと、わくわくします。垂直統合や水平分業といったビジネスモデルの変化から企業の成長ストーリーを考え、伸びる企業を見つけるという話はとても参考になりました!
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