トレーディング業務と1日の流れ【市況のいろはを学ぼう!〜はじめての市況解説〜 #1】
こんにちは、ひふみラボ編集部の沼尾です。
現在、ひふみ公式YouTubeチャンネルのコミュニティ欄で毎営業日発信している「レオスの市況解説」はご覧になったことはありますか?
投資を始めたばかりの人や、これまで経済に興味を持っていなかったという方は、いったい何の情報発信なのかわからない、経済の専門用語が多くて最後まで読む気になれないという感想を持たれるかもしれません。
実は私もその一人で、金融業界未経験でレオスに入社した当初の私にとって、株式市場の専門用語は正直なところ外国語と同じくらい耳馴染みがないものでした。
しかし、毎営業日更新される「レオスの市況解説」を読んでいくうちにニュース番組での経済トピックが理解できるようになり、日常の何気ないところで経済が身近に感じられるようになりました。
この連載では、投資を始めたばかりの方、これから投資を始めようと思っている方へ向けてテレビ・ラジオのニュースで流れてくる金融・経済にまつわる専門用語の意味や、その用語の背景についてレオスのトレーダーに質問する形式で説明していきます!
専門用語を理解しニュースが読めるようになると、株式市場を身近に感じられて楽しくなると思います。この機会に、私と一緒に「市況のいろは」を学んでみましょう!
解説してくれるのは、トレーディング部の佐々木 志保さんです。佐々木さんはトレーダーとして、日々マーケットと向き合ってトレーディング業務をしています。そして一日の終わりには、その日の株式市場の様子を「レオスの市況解説」としてまとめ、発信しています。
佐々木 志保(ささき しほ)
2016年新卒で証券会社に入社、2018年からレオス・キャピタルワークスへ。2019年からトレーディング業務に従事。
沼尾 紗耶(ぬまお さや)
イベント制作会社を経て2021年11月にレオス・キャピタルワークスへ入社。毎営業日の「レオスの市況解説」の編集を担当している。
トレーディングとはどんな仕事?
沼尾:今回は「トレーディング業務と一日の流れ」について学んでいきます!
佐々木:よろしくお願いします!
沼尾:その前に初歩的な質問なのですが、タイトルにも入っている「市況」とは何でしょう?
佐々木:株式・商品などの売買される状況のことです。市場(しじょう)の景気のことをいいます。
沼尾:なるほど!ではトレーダーのお仕事について簡単にご説明いただけますか?
佐々木: ファンドマネージャーから株や債券の売り・買いの注文を受けて、証券会社を通して株式市場に発注するのがトレーダーの仕事です。売買の基本は、「買い」だったら安く買う、「売り」は高く売ることです。その日のマーケットの動向を注視しながらベストの注文執行を目指します。
沼尾:トレーダーの方が「安く買って高く売る」と言っているのをよく聞きますが、それが売買の基本なんですね!
佐々木:そうですね。
東京証券取引所のスケジュール
東京証券取引所は午前9時にオープンします。9:00-11:30までを「前場(ぜんば)」、ランチタイムを挟んで12:30-15:00までを「後場(ごば)」といいます。
沼尾:「前場」と「後場」ですか。聞きなれない言葉ですね…。ずっと取引をしているわけじゃなくて、1時間のランチタイムもあるのですね!
佐々木:時間は取引する資産によっても異なっていて、例えば国内の債券だと8時45分から始まり、11時にはランチタイムに入ります。トレーダーの一日も、基本的には東証の取引時間と連動しています。
トレーダーの業務スケジュールは?
レオスのトレーディング部メンバーは、7時半頃に出社して8時頃から注文を発注、9時の株式市場オープンに備えます。前日の夜間に日本株のファンドマネージャーから、「明日、〇〇という銘柄を〇〇株買ってください」などと注文が来ることもあるので、それを受けて8時から東証に注文を出すこともある、ということですね。
ちなみに出社してから市場がオープンするまでの間に、証券会社の担当者と会話してその日の材料をチェックしたりします。
そして15時に後場が終了すると、その日の注文をチェックする作業を行ないます。
佐々木:「材料」というのは、マーケットが動く要因となる出来事のことを指します。ちょっと独特の言い回しですよね。
沼尾:9時のオープン前にもトレーダーは大忙しなのですね。ちなみに、このスケジュールに書かれている「前場」と「後場」以外に、レオスの市況解説では「寄り前」「寄り後」「大引け(おおびけ)」という言葉をよく目にしますが、それぞれの意味について教えてください。
9時に始まって最初の取引を「寄り付き」といいます。寄り付きの前のことを「寄り前」、取引開始した後を「寄り後」といいます。その日最後の取引を「大引け」といいます。
沼尾:寄り付き前後に、レオスのトレーダーたちは何をしているのでしょうか?
佐々木:市場がオープンする前後の時間帯は、集中して状況を見ています。銘柄ごとに買い手と売り手がいますが、その人々がどれくらいの値段で何株買いたいか、売りたいかという情報を確認しながら取引しています。
これは、実際にトレーディング部長の岡田が使っているデスクのパソコンですが、6つある画面のうち、真ん中の下にあるものは「板」と呼ばれるものです。
この「板」は、取引参加者がいくらで注文を出したか(=指値/さしね)、個々の指値の集まり(=気配値/けはいね)を見ながら、その銘柄が値上がりしそうか、値下がりしそうかといったことをリアルタイムでチェックすることが可能です。
「板」からは株を売買するうえで重要な情報を読み取ることができるんです。
また、東証では8時45分から先物(さきもの)市場が始まっています。先物とは株式を売買する手法の一つなのですが、オーバーナイトの動向や為替の影響等が反映されます。
沼尾:「オーバーナイトの動向」というのは、時差のあるアメリカやヨーロッパ(欧州)の株価市場の動きということですか?
佐々木:そうですね。そこで、9時に市場がオープンする前に先物や為替の値動きを見て、今日の市場がどうなりそうか見通しを考察します。その日の需給や材料によって、寄り前・寄り後で株式市場の動向が異なることもあります。
沼尾:なるほど。世界の動向が日本の株式市場にも影響を与えたり、逆に日本の動向が世界の株式市場に影響を与えたりしているんですね!トレーダーの皆さんが、どのような1日を過ごしているのか詳しく知ることができました!市場での取引前も取引後も大忙しなのですね。
佐々木さんわかりやすく説明いただきありがとうございます!こちらの連載は第2回、第3回と続きますので、引き続きご覧いただければと思います!
※当記事のコメント等は、掲載時点での個人の見解を示すものであり、市場動向や個別銘柄の将来の結果を保証するものではありません。ならびに、当社が運用する投資信託への組み入れ等をお約束するものではなく、また、金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。
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