逆算思考で、サステナブルな未来を!【ひふみ目論見倶楽部 頭の体操編(準備運動編)#2 勝間和代さん】
成長企業を提示し、10 年後の未来を創造する「ひふみ目論見倶楽部」。第2回は、経済評論家の勝間和代さんをお招きし、「逆算思考で、サステナブルな未来を!」をテーマに、当社代表の藤野英人、株式戦略部長・妹尾昌直 とトークを展開しました。その一部を抜粋して紹介します。
ひふみ目論見倶楽部とは?
「ひふみ目論見倶楽部(愛称:ミーモ)」は、未来の選択肢を提示し創造することを目指して設立しました。「目論見倶楽部」という名前は、未来を企画して前進し世の中を動かしていくというニュアンスを「目論む」という言葉に込めて名付けました。 ひふみが提示する新しいアクティブファンドの在り方、そして「ひふみの魅力」を形づくる中核的な活動が、この「ミーモ」です。レオス・キャピタルワークスのメンバーや外部の専門家を中心とした学術的な活動を通して、10 年先を見据えてひふみの運用に落とし込むことや、より多くの人を巻き込んだコミュニティや勉強会として機能することを目指します。
勝間和代さん プロフィール
早稲田大学ファイナンス MBA、慶応大学商学部卒。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JP モルガンを経て独立。現在は、株式会社監査と分析取締役、国土交通省社会資本整備審議会委員としても活躍中
居住空間を持ち歩く!走るだけじゃないEVの可能性
藤野:
勝間さんは最近、車中泊の魅力についていろいろ発信されていますね。
勝間:
ガソリン車はガソリンを燃やすと CO2 がどんどん排出されますから、基本的にアイドリング禁止です。でもEV(電気自動車)なら、ずっと電源を入れっぱなしにできますから、車中で様々なことを楽しめます。私が乗っている EV は、1 回の充電で 500km 以上の走行が可能。それだけ走れる莫大な電池容量があるということです。例えば、駐車したまま寒い時期にエアコンを 8 時間稼働させても、電池は 15%程度しか減りません。「これはすごい!」と思って、特別に車中泊用のベッドとテーブルをつくってもらい、設置しました。また、私は乾燥に敏感かつ、寝具が変わるのも嫌なので、ホテルに泊まるのが苦手です。でも EV なら、高機能の空調設備を入れて快適な温度、湿度にできます。Wi-Fi も設置していますから、好きな動画や音楽を流しながら寝ると気持ちよく眠れます。睡眠負荷を計測しても、ホテルより格段に良いスコアが出ます。
藤野:
勝間さんにとっては、ホテルより車で寝るほうが快適なのですね。それもわざわざキャンピングカーを買わなくてもいいということですよね。
勝間:
キャンピングカーはそれ自体の価格が高く、運転も難しい。電池が高くつくので、冷暖房の設置も 150 万円ぐらいかかります。EV なら、そこが全部解消されます。つまり、自分の居住空間を持ち歩けるということです。私は普段、駐車場に EV を置いて、車中でパソコンを開いて仕事をしてから家に戻る、という生活をしています。家で仕事をすると、猫が膝に乗ってきたりして集中できないので(笑)。
克服したいのは3つの脳「否定脳」「許可脳」「レシピ脳」
藤野:
勝間さんといえば、ロジカル調理でも有名です。これは、科学的根拠に基づいて調理すれば簡単に栄養満点の料理がつくれるという考え方で、レシピ本も出されていますね。
勝間:
私の本には、レシピを24種類載せています。原理・原則が全部書いてあって、その代表例としての24種類ですから、これらを応用すれば、なんでもつくれると思います。でもレシピって、たくさん欲しがる人が多いですよね。100も200もレシピを欲しがる人がいますが、これはあまりいいこととは言えません。例えば、私が主宰する勝間塾では、3つのダメな脳の話をすることがあります。それは、「否定脳」「許可脳」「レシピ脳」です。やりもしないでなんでも否定するのが「否定脳」、自分の行動や考え方を「これでいい?」と周りに聞くのが「許可脳」、そして試行錯誤を排除して答えだけを欲しがるのが「レシピ脳」です。この3つの脳を克服することが、大事だと私は思います。
藤野:
投資の世界でも、この3つの脳はありがちです。何を言ってもすぐ「でもね」と真逆のことを言おうとする、これは「否定脳」です。「許可脳」は、失敗したくないので、皆がやっている方法でやろうとするタイプです。「許可脳」と「レシピ脳」は近いと思います。うまくやっている人を真似てショートカットしたい、そういう気持ちですね。本来なら自分の体験などから自分なりに答えらしきものを導き出し、自分の人生をデザインしていくべきであるのに、正しい答えがどこかにあると思っているのです。
勝間:
人がやってうまくいっていることを真似しても、後追いになって、成功しない場合も多いですよね。
藤野:
その一方で、自分がうまくいかないのは、誰かがその代わりにうまくやっているせいだと思っている人もけっこういます。そういう人は「秘密の投資クラブがある」などという話に引っかかりやすいものです。おいしい思いをしているグループがあると信じてしまっている……。しかし、「最終的に自分でリスクを取って前に進むべきだ」という自立した考え方の人は、そもそもそういう話に耳を傾けません。
サステナブルな幸せは「逆算思考」で設計していく
藤野:
EVの車中泊やロジカル調理のほかに、VR(仮想現実)の最新機種も買って楽しんでいるそうですね。そういったワクワクするものに自分を向かわせる原動力は、なんですか。
勝間:
サステナブルな幸せを追求する心でしょうか。私は幸せで楽しい生活を営みたいですし、周りの人にもそうあってほしいと願っています。
藤野:
では、サステナブルな幸せを追求するためには、どんなことに注意すべきだと思いますか?
勝間:
1つは、マスメディアなどの宣伝広告に踊らされないことです。無意識に情報を見ていてはいけません。私たちは日々、様々な選択をしていますが、その99%は無意識に行なわれています。99%が無意識に汚染されうるということです。情報は自分で考えて、自分で取りにいくべきです。
藤野:
どうしたら、無意識の行動を減らせるでしょうか?
勝間:
「軸」を考える習慣があると、わかりやすいと思います。ロジカル調理も基本的に2つしか「軸」はありません。温度管理と塩分管理です。この2つを意識すれば、あとはその派生形で対応できます。それと同じように、見ているものの共通項の「軸」を見つけることが大切です。 また、「逆算思考」をするのもいいと思います。死ぬ時にどういう状態で死にたいか、そこから始まって戻ってくると、今やるべきことの「軸」が見えてきます。
妹尾:
私も「逆算思考」を行ないたいと思いますが、その習慣がないとつい身構え、「さて、何をまず考えようか」となって疲れてしまいます(笑)。
勝間:
いえ、疲れないはずですよ(笑)。「逆算思考」は思考の節約でもあります。将来のゴールに対して、どこを省いてどこをやれば一番ラクか、と考えるのが「逆算思考」です。そうやって無駄なことを省いていくと、考えることが少なくなって、時間に余裕が生まれます。そして、生まれた余裕で、また新しいことを考える、そこが「逆算思考」のいいところですね。
藤野:
将来のゴールについてイメージできないと、逆算できませんよね。
勝間:
それも簡単です。私は2つのことしか考えていません。「いつ死んでもいいようにしよう」と「死ぬ時に幸せでいよう」。この2つです。
妹尾:
一般的には何かタスクがあって、それをやるために「今これをやらなければ」という方向に思考が向かいがちです。それとは全く違いますね。自分が幸せになるためにどうしたらい
いかと考えるのであれば、考えることは楽しいかもしれません。
藤野:
勝間さんにとって、未来はどのように見えていますか。
勝間:
EVもテレワークもそうですが、自分が5年前、10 年前にライフスタイルとして取り入れていたものが、一般化してきていることを感じます。先を見抜くというより、今ある技術で自分にとって一番快適なことをやると、あとになって社会がついてくるというイメージです。EV 車中泊も浸透しますよ、5年後に(笑)。
藤野:
今あるものの中で、最適、快適に生きることに純粋にトライしていけば後々、世の中でその良さを体験する人が多くなって、一般化するということですね。勝間さんはやはり、世の中は長期的に合理的に動くということへの信頼感が高いですね。これは投資においても重要な視点ですし、10年後にあるべき未来を考える「ひふみ目論見倶楽部」にとっても、示唆に富むお話だと思います。
〈2024年2月22日収録〉
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