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給与明細を読み解くその④ 公的年金のあれこれpart3【お金のあれこれ #4】

皆様の漠然とした「お金のあれこれ」を整理し、お金の不安を知っている安心に変える一助になることを目指す本連載。
第三回では、「働けなくなった時」の年金「障害年金」についてお伝えしました。今回は公的年金3つの機能のラスト、「遺族年金」のあれこれを整理し、3つの公的年金のまとめをしていきます。

深町

〈プロフィール〉
深町 芳(ふかまち かおり)
福岡市出身。
地元の金融機関を退職後、フリーランスを経て、2018年3月レオス入社。
福岡市にあるひふみ九州センターに駐在。
金融機関在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得し、資産形成に関わる仕事に長く携わる。
好きなものは、猫と歴史、神社仏閣めぐり。
夢は、年齢を気にせず健康である限り働いて、仕事の合間に仏像に会いに京都や奈良のお寺へいくこと。

〈プロフィール〉
三田村 英弥(みたむら ひでや)
福岡市出身。
地元の金融機関に4年間勤務。ひふみ九州センターで深町のセミナーに参加し、レオスへの転職を決意。2020年3月にレオス入社。金融機関勤務時は法人営業、金融商品に関する仕事に携わる。趣味は読書。何か新しいことに挑戦をしようと、プログラミングの勉強中。

三田村

万が一の際の給付・遺族年金

三田村さん、前回は障害年金についてお話しましたが、いかがでしたか?
はい、20歳になった時によく理解しないまま保険料納付の猶予手続きをしたのですが、手続きをするのとしないのでは大きな違いがあることを教えてもらって驚きました。これは多くの人に知っていただきたいことですよね。

そうですね。公的年金はいろいろと誤解されている部分もありますので、できるだけ正確に知っておきたいですね。
さて、これまで「老齢年金」と「障害年金」についてお話しました。今回は「遺族年金」についてお伝えします。

万が一のことですが、公的年金の機能として知っておきたいですね。

まずは前回までのおさらいです。
公的年金には、日本に住む20歳以上のすべての人が加入する「国民年金」と、会社員や公務員が加入する「厚生年金」があります。

遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者(=保険料を納付して加入していた人)または過去に被保険者であった方が亡くなった時に、その方によって生計を維持されていた遺族が受給できる年金です。それぞれ、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」と呼ばれます。亡くなられた方の加入状況などに基づいて、いずれかまたは両方の年金が支給されますが、遺族年金を受け取る方の年齢・優先順位などの条件が設けられています。

遺族基礎年金の受給要件

国民年金に加入していた方が亡くなられ、その方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が、遺族基礎年金を受給できます。

この場合の「子」というのは、以下の条件があります。

受給額は、お子さんの有無や人数によって異なります。2020年度の年金額は以下のとおりです(受給額は年度ごとに見直されます)。

781,700円+子の加算
子の加算:第一子・第二子 各 224,900円 第三子以降 各 75,000円


例えば、死亡時点でお子さんが3人いた場合の受給額は以下の図の通りで、子が条件を満たさなくなる(図の例だと18歳になる年度末を迎える)と以下のように受給額が減少していきます。


ここで注意したいのが、条件を満たす子がいない配偶者は遺族基礎年金を受給できない、ということです。

え、781,700円もらえると思ってしまいそうですが、全くもらえないのですか?

はい、そうなんです。元々は子育てなどで思うように収入を得られない人を支えるという趣旨で、高校生以下の子がいる配偶者という受給要件になっています。ですから図の例ですと第三子が18歳になった年度末を過ぎると、年金額はゼロになります。

遺族厚生年金の受給要件

続いて遺族厚生年金についてお話します。遺族基礎年金と比べると受給できる遺族の範囲が広く、亡くなった方に生計を維持されていた「妻」「55歳以上の夫」「子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者)」「55歳以上の父母、祖父母」となっています。

受給には表のように優先順位が決められており高順位の方が受給すればそれ以外の方は受給できません。

細かい話になりますが、妻の死亡日時点で55歳未満の夫は遺族厚生年金を受給できないので、夫が遺族基礎年金を受給している(つまり18歳になった年度末を経過していない子がいる)場合、遺族厚生年金は子に支給されます。

また、遺族基礎年金を受給している夫が55歳以上60歳未満の場合のみ、60歳未満であっても遺族厚生年金が支給されます。夫の受給に関しては、妻とは異なり要件が多いので注意が必要です。夫以外で受給要件に55歳以上と年齢制限のある父母、祖父母が実際に年金を受け取れるのは60歳からですので注意してください。

受給期間は子や孫については18歳に到達した年度末まで、30歳未満の子のない妻が5年間の有期となっています。それ以外は原則として終身受給できます。

どちらにも共通して「生計を維持されていた」という条件がありますが、具体的に「生計を維持されている」とはどのような状態ですか?
「生計を維持されていた」という要件については、扶養されていたことは必要なく、例えば夫婦共働きで二人の収入で生活していた場合でも認められます。ただし遺族自身の収入が将来にわたって年収850万円以上あると受給できません。

かなり条件が細かいですね。頭がゴチャゴチャしてきました。

かなり複雑ですから覚えておく必要はないと思います。ただ、遺族が夫か妻かで違いがあることなどは知っておくと、生命保険の加入を検討する際などに役立つと思います。頭の片隅に入れておくといいかもしれませんね。
ところで、遺族厚生年金っていくらぐらいもらえるのでしょうか?
これは一人ひとり異なります。老齢年金でも、老齢基礎年金は金額が一律に決められていましたが、厚生老齢年金は現役時代の収入や加入期間によって違いがある、とお話しましたよね。それと同じです。


遺族厚生年金額には細かい決まりがあり、受給額を求める計算も難しいのですが、ざっくりお伝えしますと、死亡した人が本来受給するはずだった老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4(ただし厚生年金の被保険者期間が300月に満たない場合には被保険者期間300月とみなします)が受給額になります。
具体的な受給額や受給期間について確認したい場合は最寄りの年金事務所に問い合わせてください。

制度も知って資産形成に生かそう

3回にわたって公的年金についてお伝えしてきました。自分が高齢になった時には年金はもらえない、と考えて保険料を納めていない方がおられるとも耳にしますが、国は税金を投入し、仕組みを見直しながら制度の維持に力を尽くしています。
年金は高齢者の生活を支えるだけではなく、万一の時にも頼りになる制度であることも知っていただけたと思います。

そうですね。年金については、なんとなく「もらえないんじゃないか」と思っていました。自分ごととして知っておくことでいつか役に立つことがあるかもしれないという意識をもっておくことが大切だなと再認識できました。

人口動態や社会の変化によって、公的年金制度に課題があるのは事実ですが、セーフティネットとして頼れる制度であることは間違いありません。不安を感じてばかりでは日々の生活が楽しめません。資産形成や自分への投資など自分自身のゆたかな生活のために、今できること、やるべきことを考えていく姿勢を持つことが大切だと思います。



※本コラムではわかりやすさを重視して一般的な情報をお伝えしていますので、個別のケースや詳細については、厚生労働省のホームページ、日本年金機構のホームページなどでご確認ください。

※当社では勧誘行為に該当するようなFP的業務は行なっておりません。

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