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岡田武史さんが語る 今治の未来と「次のゆたかさ」のゆくえ【ひふみフォーラム2020開催レポート vol.3】

5月24日にオンライン開催(YouTube Live)した「ひふみフォーラム2020」。

当日はひふみの新しいブランドメッセージ「次のゆたかさの、まんなかへ」をテーマにしたゲストトークが盛り上がりましたが、今回は岡田武史さんの基調講演についてレポートします。

岡田さんの登場にコメント欄も湧き上がっていました!

前回のレポートはこちら↓

元日本代表監督・岡田武史さんが「心のゆたかさ」を大切にする理由【ひふみフォーラム2020開催レポート vol.2】

 

後編は、「今治」という地でのチャレンジと、岡田さんの考える「次のゆたかさ」について。レオス・キャピタルワークス 経済調査室の橋本がお伝えします。

正直なところ、岡田さんが「次のゆたかさ」についてどんなことを語られるのかイメージできていませんでしたが、胸の熱くなるお話ばかりでした。(橋本)

絶対に無理だと言われていた5000人のスタジアム

次世代の選手育成にチャレンジすべく、岡田さんは今治へ行きました。しかし、愕然としたそうです。街に出ると中心地にも更地があり、商店街は閉まっている……

「これはやばい!と。これではFC今治が成功したとしても、観に来てくれるお客さんがいない。自分たちが立っている場所がなくなってしまう。では一緒になって元気になる方法はないだろうか、と考えました。

それは、小中学校から高校、トップのFC今治まで、一つの“ピラミッド”をつくる、ということ。そのために全てに岡田メソッドを教えに行こう、そう決意しました。

今治が面白いサッカーをして強くなれば、今治でサッカーがしたいと全国から子どもや指導者が集まってくるはずです。そして、おじいちゃんおばあちゃんだけの所にホームステイをしてもらえば、そこで世代を超えた交流が生まれる。16万人の街がいつの間にかコスモポリタンのようになり、活気に溢れてくるだろう。夢が見えてきました」

岡田さんが考えたのは、「スポーツ・健康・教育をテーマにした複合型のスタジアムをつくり、365日人が集まるような場所をつくる」ということでした。

「あのスタジアムに行けば、なにかワクワクする。『この間も来ていましたよね?次の試合もまた来ますか?』と新しい出会いが生まれる。

地方創生というと、若者を集めるための仕事をつくろうと言う人がいます。でも今治に仕事をつくっても、それだけでは東京から若者は来ないでしょう。そうじゃなくて、人が集まる場所をつくって、『関係人口』を増やす。そこでたこ焼き屋をやれば儲かるだろうと思って来た人が今治の人と結婚して『定着人口』になる。それが現実的じゃないか、と。

そんな夢をひたすら語っていたら、いつしか人とお金が集まってきたんです

そしてついに、絶対にできないと言われていた5,000人のスタジアムを今治につくることができました」

スタジアム初日、いったい何人の人が来てくれるだろうかと不安だったという岡田さん。しかし、結果はなんと5,200人もの人が来てくれたそうです。

ゴール裏で泣いている一人の女性がいました。

「3年前、岡田さんが来たとき、みんな否定的だった。私もそうだった。けれど3年後に今治でこんな姿が見られるなんて、嬉しくて……

その話を聞いた岡田さんたちはみんなで涙を流したそうです。「ようやく、認めていただけるようになったんだな」と。最初は誰も認めてくれずに、街中のビラ配りから始まった、今治での挑戦。幾多の困難を乗り越えて、今治に心あたたまる感動を届けられた瞬間でした。

コメント欄でも「感動しました」との参加者の言葉が並んでいました

AIが進化した未来では、人間らしさが大切になる

岡田さんのチャレンジはこれからも続いていきます。講演も終盤にさしかかって、岡田さんの語り口にも熱がこもりました。

「チームがJ2に上がるには、今度は1万人のスタジアムが必要です。40億円近くかかります。そんなお金を私たちでは用意できませんから、投資をしてもらわなければいけない。投資してもらうには、リターンを出すとともに、ストーリーがないといけません

岡田さんが語る次の夢が、「バリ・ヒーリング・ビレッジ」。「今治の癒しの村」と言う意味です。そこに岡田さんの考える「次のゆたかさ」への思いが込められていました。

「これから、AIやIoTがますます発達していきます。そしてAIの言うことは当たるんです。AIの言う通りやれば、長生きできて、事故もなく、成功していくかもしれない。人間はAIの言う通りの人生を生きるようになってくるでしょう。

でも、人間の幸せってそれだけじゃない。

困難を乗り越えて『やった!』と達成感を得ること、人と新しい絆ができたときの感動がある。幸せとは、よく生き、よく死ぬこと。よく生きるとは、便利・安全・快適・ミスの無い人生だけではないんです

「スポーツは、AIが提供するものではないもう一つの幸せを提供できる」と、語ります。新スタジアム構想にはその思いが込められています。コンクリートで固められてあとは廃れていくだけのスタジアムではなく、緑に囲まれて人々が癒され、"心の拠り所"になるような「里山スタジアム」です。

「目に見える資産も当然大事です。夢や信頼、感動だけでもダメ。その両方が整って新しい時代ができる。投資するところを量ではなく質へ、目に見えるものではなく、目に見えない価値へ投資していく時代をつくっていこう」

それが、岡田さんのメッセージです。

夢を語ると、そこに人とお金が集まる

講演後、レオス代表の藤野からも感想をお伝えしました。「夢を語ると、そこに人とお金が集まる」、岡田さんの今治での挑戦は、まさにその典型例です。

藤野 「目に見えない資産というお話だったのだけれども、実は人間には見えているんじゃないかな、と。確かに画像としては捉えられないかもしれない。けれども私たちには、夢や希望といったものを見る力があると思うんです。実際、岡田さんが熱く、いきいきと語った瞬間、今治の光景が目に見えましたよね!」

「一番心に残ったのは、『未来は将来の子どもたちのためにある』という部分」と語る藤野。「ひふみ」を通じて、少しでもその未来に貢献していきたい、と私たちも思いを新たにしました。岡田さん、本当に素敵な基調講演をありがとうございました。

参加者の方からの熱い感想もたくさん届きました。ごく一部ですが、ご紹介します。

  • 「物理的なゆたかさの次は、目に見えないゆたかさが充実するべき」という主張は確かにと思い、納得した。最近投資が盛んな企業は、シェアオフィスや相乗りタクシーなど新しいサービスを提供する企業が多いように思う。
    目に見えないゆたかさ、見えるゆたかさをバランス良く取り入れていく企業が成長するのではないかと感じた。(東京都・20代)

  • 何より岡田オーナーの熱量に共感しました。サッカーを文化と位置付けて考える思考、この地球は未来からの贈り物と言う考え方には感動すら覚えました。
    夢を語ることで苦労も多かったと思いますが、やはり行動してきた実践者の言葉には耳を傾けるしかないと感じました。今治にも興味がわきましたし、岡田さんの著書も読んでみようかと思うようになりました。(東京都・40代)

今後、ゆたかさを測るような機会には、「物」の基準だけではなく「心」の基準も入れていきたいです。また、「心」のゆたかさを享受するには、大なり小なり一度「へこむ」時期を経ることが必要になると思います。効率や快適に安住しないで、新しい物事への挑戦や、そこで起こる失敗へ寛容である姿勢を、自分自身のなかに、そして社会のなかにもふやしていきたいと思いました。(レポート:経済調査室・橋本裕一)



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