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基準価額が高いとダメ? 「投資信託の値段」を考える(後編) 【投資と上手に付き合う方法 #6】

投資運用会社レオス・キャピタルワークスの社員である友利が、SNSなど皆様の身近なところで目にする投資信託に関する話題から、投資と上手に付き合う方法を考えていく連載です。連載を通じて、皆様の投資や投資信託に関する理解が深まることを目指しています!前回の記事はこちら

この記事のポイント

  • ひふみ投信の基準価額は高いのか
  • 基準価額が高いとダメ?
  • 基準価額でリターンを計算

<プロフィール>
友利 駿介(ともり しゅんすけ)
沖縄県宜野湾市出身。
大学卒業後、2016年から国内大手資産運用会社で勤務した後、レオスやひふみの理念に共感し、2019年レオスへ転職。レオスでは経営企画を経験した後、営業本部に異動し、現在はダイレクト営業部、パートナー営業部、未来事業室を兼務。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。

ひふみ投信の基準価額は高いのか

「投資と上手に付き合う方法」の第6回です!第5回の続きになります。

前回から、「投資信託の値段」というテーマで基準価額についてご説明させていただきました。基準価額について仕組みをご理解いただいたところで、よくいただくご質問にお答えしたいと思います。
それは「ひふみ投信の基準価額は高いのか?」というご質問です。

一般社団法人投資信託協会さんの投信総合検索ライブラリーで検索したところ、この記事を書いている2021年8月3日時点で、投資信託の本数は5,927本で、そのうち基準価額が2万円を超えている投資信託は853本しかありませんでした。

ほとんどの投資信託は基準価額が1万円台以下ということです。
一方、ひふみ投信の基準価額は2021年6月末時点で62,930円です。すべての投資信託が10,000円からスタートしますが、他の投資信託と比較してもかなり高くなっています。

ひふみ投信の基準価額が比較的高い理由は、以下の3つです。
①これまでの運用実績が比較的良かったこと
②ひふみ投信が分配金を払い出していないこと
③ひふみ投信の運用期間が長いこと

まず①ですが、前回基準価額の変動要因で見たとおり、投資信託が保有している資産の時価評価額が増加すると、総口数に対して純資産総額が増加することになり、基準価額は上昇します。
ひふみ投信は株式に投資する投資信託ですので、株価が上昇する株式にうまく投資できたことで、株価上昇による基準価額の上昇を実現できたということです。

次の図はひふみ投信の月次ご報告書であるひふみのあゆみ(2021年6月度号)からの抜粋です。
TOPIXは日本の株式市場全体の値動きを表す指数ですが、この図でTOPIXが23,413円とあるのは、TOPIXと全く同じ値動きをする投資信託がひふみ投信と同時期に運用をしたときの基準価額と言えます。
この図からは、ひふみ投信で保有していた資産の価値がTOPIXよりも大きく上昇したことで、基準価額がより高くなったと読み取ることができます。もちろん、過去TOPIXを上回っていたからと言って、今後も同じ結果になるとは限りませんのでご留意ください。

※基準価額とは「ひふみ投信」の一万口あたりの値段のことです。また信託報酬控除後の値です。
※ひふみ投信の当初設定日の前営業日(2008年9月30日)を10,000円として指数化し、基準価額とTOPIXのグラフや設定来の運用成績の表を作成しています。
※TOPIXは、全てTOPIX(配当込み)を用いています。TOPIX(配当込み)は当ファンドのベンチマーク(運用する際に目標とする基準)ではありませんが、参考として記載しています。
※将来の結果等をお約束するものではありません。


次に②ですが、これも前編でご説明したとおり、分配金の払い出しは基準価額が下落する要因です。
ひふみ投信は2008年10月の運用開始以来1円も分配金を払い出していないので、分配金によって基準価額が下がったことはありません。
ちなみに、先ほどの投信総合検索ライブラリーによると、分配金を1円も払い出していない投資信託は2,828本で全体の半数未満でした。
どちらかというと分配金を払い出す投資信託の方が多いようです。

そして③です。ひふみ投信は2008年に運用をスタートしているので、2021年現在で運用してからおよそ13年が経過しています。
基準価額は保有資産の価値の変動の積み重ねで変動しますので、保有資産の価値が上昇することを前提にすれば、運用期間が長いほど積み重ねも大きくなり、基準価額はより高くなります。
投信総合検索ライブラリーによれば、運用期間が10年以上の投資信託は769本でした。
現時点で存在する投資信託のほとんどがひふみ投信よりも運用期間が短いということです。

ひふみ投信と同じような運用をしている投資信託であっても、運用開始が遅く、運用期間が短ければ基準価額もひふみ投信よりも低くなります。

2012年に運用を開始したひふみプラス、2016年に運用を開始したひふみ年金は両方当社が運用する投資信託で、運用の中身はひふみ投信とほとんど変わりません。
しかし、2021年7月末の基準価額は、ひふみ投信の62,930円に対してひふみプラスが51,610円、ひふみ年金が18,995円です。運用期間の違いが基準価額に大きな影響を与えることが分かると思います。


基準価額が高いとダメ?

ひふみ投信の基準価額について、さらによくいただくご質問は、「基準価額が高いともう値上がりしないんじゃないか」です。
心理的にはよく分かるのですが、これまでのご説明をご覧いただくと、基準価額は割高、割安の指標にはならないことが分かっていただけるのではないかと思います。

ひふみ投信の基準価額は、過去の運用成績・分配方針・運用期間の3つの要因の組み合わせで高くなっているのですが、これらが今後の運用成績に直接影響を与えることはありません。

基準価額が高いと割高なのではと思う方の中には、これまで投資していた株式の価値が十分上昇しきっていて、これからの成長が期待できないと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ひふみ投信では、ファンドマネージャーの判断で保有している株式を売却して異なる株式を購入する銘柄の入れ替えを自由に行なうことができ、保有銘柄のうち、これ以上成長余地がないと思っている銘柄を売却して、これから成長しそうな銘柄を新たに購入することができるわけです。
やはり基準価額が高いというだけでその後の運用成績に期待できないとは言えないでしょう。

基準価額でリターンを計算

基準価額は割高、割安の指標ではないと書きましたが、皆様にとって、基準価額はどのような意味を持つでしょうか。


私は、投資家にとっての基準価額は、投資信託のパフォーマンスを測るためのものだと考えています。実際に投資をした投資信託なら、基準価額を気にせずとも、自分の投資した金額と保有金額を比較すればどれだけ投資信託のパフォーマンスが分かります。しかし、基準価額を見れば、ファンドに投資をしなくても投資信託のパフォーマンスを計算することができます。

2つの投資信託で投資を迷っていて、過去1年間のリターン(騰落率とも言います。)が高い方に投資をしようと考えている方がいらっしゃれば、投資信託のwebページ等で1年前の基準価額を調べて、今の基準価額と1年前の基準価額を比べることでどの投資信託を選べばよいかが分かります。

一方の投資信託の今の基準価額が12,000円で、その投資信託の1年前の基準価額が10,000円なら、12,000円÷10,000円-1で0.2=20%が1年間のリターンです。
もう一方の投資信託の今の基準価額が50,000円で、その投資信託の1年前の基準価額が40,000円なら、50,000円÷40,000円-1で0.25=25%が1年間のリターンです。したがって、後者の投資信託の方が過去1年間のパフォーマンスがよかったということが分かります。


※分配金を払い出していないファンドの場合です。

ただし、投資信託が分配金を払い出していると、分配金を同じ投資信託に再び投資をするのか、それとも現金で持っていくのかで投資家のリターンは異なりますので、修正が必要になります。分配金を同じ投資信託に再び投資するパターンで計算するのが一般的です。

また、身もふたもないのですが、過去のリターンは投資信託の月次レポート等を読めば書いてあるので計算が面倒な方も大丈夫です。そういった資料に記載されているリターンがどういったものかをご理解いただければと思います。

おわりに

いかがでしたでしょうか。結論としては、基準価額が高いか低いかは投資信託を選ぶ指標にはならないということです。投資信託の値段と聞くと強く意識してしまいますし、できるだけ安いものがいいのではと思ってしまう方もいらっしゃると思います。

しかし、冒頭で申し上げたとおり、投資信託で重要なことは、その値段が購入したときの値段からどのように変化するかです。今の基準価額は、過去の値動きの積み重ねであって、その水準自体には大きな意味はありません。

今、ひふみ投信の基準価額は約6万円なので、運用してから13年ほどで基準価額は約6倍になったということです。仮にこれまでと同じペースで基準価額が上昇すれば、13年後の基準価額は36万円、26年後の基準価額は216万円です。さすがに基準価額が100万円、200万円となると、割高と言われることすらなくなるのかなと期待しているところです(笑)

ということで、今回の記事はおしまいです!次回以降もぜひよろしくお願いいたします。


※当記事のコメント等は、掲載時点での個人の見解を示すものであり、市場動向や個別銘柄の将来の結果を保証するものではありません。ならびに、当社が運用する投資信託への組み入れ等をお約束するものではなく、また、金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。


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