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高校生と考える、自分の「ありかも」な未来 どんな人にお金が集まる?【金融教育イベントレポート】

「金融教育」という言葉をよく耳にするようになりました。レオスにも、お客様や販売パートナーさんから「どのように投資を教えたらよいのか?」というご相談がふえています。どのような形で、どのようなメッセージを伝えることがレオスらしい金融教育なのか、社内でも悩み、議論を重ねています。

2020年には「ペットボトルのお茶から考える進路」と題したワークショップを開催しています。単にお金のふやし方や税金や社会保険などの仕組みを伝えるだけではなく、自分自身の生活と社会の繋がりに気づき、どう関わりたいのかを考えること、そして自分がどんな風に生きていきたいか考えること。それがお金について考えるスタートだという想いがありました。

6月12日、前回もご一緒させていただいた東京都立東高等学校の1年生の皆様に向けて、自分自身の進路について一歩踏み出して考える特別授業を開催しました。実際に教室に往訪する授業ということで、企画に参加した15名のレオスメンバーもワクワクして当日を迎えました。世の中のつながりを生徒さんと一緒に再発見していく特別授業の様子を、ひふみ営業部の酒井がレポートします!

コロナ禍による社会の変化もあり、高校生の価値観や学生生活も変化したのでは?と考えていました。生徒の皆さんと会って、直接お話を聞けるのが楽しみでした。

「ありかも」から始まる可能性

今回は通常の授業2コマ分のお時間をいただき、講演パートとワークショップパートに分けた構成です。1時間目は1年生の生徒さん約170名に向けて「『ありかも』から始まる可能性」と題し営業本部・仲木が講演を行ないました。生徒さんたちは少し緊張した様子でしたが、アイスブレイクとして仲木から「10文字以内で、自分の名前を使わず自己紹介をする」というお題が出されると、指折り文字を数えながら周囲と楽しそうに話し合っており、緊張も和らいだようでした。

仲木の「10文字」自己紹介。なんとなく仲木のキャラクターがにじみ出ています。

限られた文字数で自分を表現せねばならず、なかなか難しい課題です。ある生徒さんに仲木が聞いてみると、「(髪が)ロング、遅刻魔、女」と回答し、ホールに笑いが起きます。文字と時間に制限があるなかでしたが、初めて会う私にもその生徒さんがどんなキャラクターなのか伝わる表現をしていて、感心しました。

つづいて仲木は「100万円あったら何に使うか」、「1億円あったら何に使うか」というお題を問いかけます。
100万円についてはやりたいことや買いたいモノをすぐにイメージできるようでしたが、1億円を何に使いたいかという問いには、大きな金額なだけに生徒さんの表情に少し困惑の色が見えました。

仲木はお金について、「貯まると濁る、流れると事が起こる」と言います。大金を手に入れることそのものや、貯めこむことを目的とするのではなく、大きな循環につなげること、つまりお金を使って何かをすることが大切だということです。

では、多額のお金をより大きな循環につなげるとは具体的にどういうことなのでしょうか。そして、お金を集めることができる人は、何か特徴があるのでしょうか。

仲木はお金が流れてくる人の特徴として
①課題を解決する人
②ワクワクしている人(変な人)
③熱い人
④わがまま(われ【我】がまま)な人

の4つを挙げ、さらにその特徴をもってご活躍されている方をお二人紹介しました。
お一人目は「四つ葉のクローバーアーティスト」の生澤愛子さんです。生澤さんは四つ葉のクローバーを使った作品をネット上で販売しています。Instagramでは約1万人のフォロワーがおり、イタリアのインフルエンサーと協力して海外展開もしています。
生澤さんは、他人が考えるワクワクではなく、自分のやりたいことである四つ葉のクローバーの作品づくりに夢中であり続けたことで、様々な人に応援されるようになりました。

お二人目は、消防士を勤める傍ら、地元の岐阜県美濃加茂市で「美濃加茂ビール」というクラフトビールを醸造している仙田大騎さんです。消防士として地域に関わる中で、もっと貢献したいという気持ちが芽生えたそうです。その熱い想いが多くの人に伝わり、クラウドファンディングで800万円もの資金を集め、ビールの醸造をはじめることができました。仙田さんの熱意に共鳴した地域の公務員の方々もお仕事を手伝いに来てくれるそうです。

世の中に変革をもたらすような事業をつくりだす起業家は、自分一人で富を貯め込もうとするのではなく、人のため、社会のためにお金を循環させていくことで成功しているのだと思いました。
生澤さんや仙田さんのような、自分のやりたいことに全力な人、ワクワクしている人、熱い想いで社会課題に取り組む人に、私たちは惹かれるのだと感じます。そして、その結果たくさんの共感してくれる人やお金が集まり、自分の想いを実現できるのではないでしょうか。私自身も仲木さんのお話を聞き、あらためて自分のやってみたいことに挑戦する意識を持ちたいと思いました。

講演の最後に、仲木は自分の「好き」に忠実に生きることの大切さを訴えました。最も大切なのは、富や名誉など一般的にいわれている幸せを得ることではなく、自分の「好き」に素直になれるか、ワクワクして生きられるかということです。
さらに、仲木は無理に「夢」を持つ必要はないといいます。他の人の夢をサポートしたり、小さな自分の「好き」を積み重ねたりすることで、いつか大きな夢をもつことができるということです。自分が「ありかも」、「好き」と思えることを始点として、将来の可能性を考えていくことが大切なのだと、私も思いました。

仲木の話を生徒さんたちもメモをとりながら熱心に聞いていました。
現在の高校生は、SNSなどで気軽に世の中のトレンドや他人のライフスタイルに触れることができる反面、世の中が思う「普通」であることに固執したり、他人と比較して疲れてしまったりするのかもしれません。そうしたネガティブな気持ちを切り替えて小さな自分の「好き」を見つけてほしいです。そして今回の講演が、将来について考えるきっかけになっていれば嬉しいです。

ペットボトルのお茶を作って売るのに必要なこと

2時間目は各クラスに分かれてワークショップを行ない、世の中の仕事や自分のやりたいことについて考えを深めていきます。

ワークショップのテーマは「コンビニでペットボトルのお茶を買うために支払った150円は、どこへ行くのか」です。

最初に1分間で生徒さんそれぞれに考えてもらいました。

お茶を販売するコンビニ、コンビニの本部(本社)、お茶を作る会社、お茶農家、コンビニやお茶メーカーの社員の給料、など様々な意見が出ました。お茶に支払った150円が、様々な会社や人に流れていくことが分かります。

次に数名のグループになって、さらに色々な角度からペットボトルのお茶について話し合います。
具体的な仕事や企業名だけでなく、どんな人が必要か、お茶を買ってもらうのに何に注目してもらうべきか、お金の行方など、出てきた意見を付箋に書いて模造紙に貼っていきました。

生徒さんからは、次のような意見が出てきました。
・値段を考える人
・ラベルのデザインを考える人
・ヤクルト
・静岡県
・川口春奈さん(CMに出演しているタレント)
・税金(国の歳入)
・SNSで宣伝する人
・インフルエンサー

模造紙を埋め尽くすほど意見が出てきたチーム。中には「仕入れ工程」「開発工程」「広告・マーケティング工程」に分けて考えているチームもいて、講師を務めた八尾も驚いていました。
レオスメンバーも教室を回り一緒に考えます

一見するとお茶と直接関係がなさそうな仕事や、レオスメンバーも想定していなかった意見が多く出てきて非常に驚きました。また、「インフルエンサー」、「企業のSNS担当」、「TikToker(ティックトッカ―)」など、日常的にSNSで情報収集をする高校生のリアルな姿が垣間見えたのも印象的でした。
各グループでの議論のあとは、どのような意見が出たのかを発表しました。クラス全体で意見を交換し合ったことで、さらに視野が広がったようでした。

ワークショップを通して、ペットボトルのお茶を販売する過程には様々な仕事が存在し、多くの人がそれぞれの役割を担っていることが分かったのではないでしょうか。また、お茶を買うために支払ったお金が、たくさんの企業や、国、地方自治体へ流れていることをより具体的に感じてもらえたのではないかと思います。
仲木のクラスでは、どんな視点で商品を作り値段をつけているのかという理由も考えて発表しました。

「おもしろそう」「ありかも」をたくさん持とう

ディスカッションやグループの発表を通じて、多くの仕事やお金の流れを感じてもらったあとは、生徒さん一人ひとりがどんな仕事に興味があるのか、個人ワークを通して考えていきました。

まずはワークシートに「おもしろそう」「ありかも」と思うものとその理由を書いていきます。ゲームやマンガ、ギター、バスケットボールなど身近な趣味やスポーツを書く生徒さんもいれば、デザイナーや広告担当など、既に具体的にやりたい仕事をイメージできている生徒さんもいました。

頭の中で考えている「おもしろそう」「ありかも」を紙に書き出すことで、自分の興味がよりクリアに整理されます。また、なぜおもしろそうなのか、なぜ興味がもてるのか、と理由を考えることで自己分析を深め、自身の意外な一面を見つけることもできるかもしれません。具体的なキャリアのイメージは描けなくとも、そのヒントを得た生徒さんもいたようです。

私たちが日々手にする商品やサービスは、様々な仕事があって成り立っています。仕事が無数に存在するということは、それだけ自分の「ありかも」「おもしろい」を社会に役立てるチャンスもあるということだと思います。身近な興味から仕事について考えていくことは、将来の自分をより具体的にイメージし、主体的に進路を考えるモチベーションにもつながるのではないでしょうか。東高校の生徒の皆さんも、自分の好きなことを見つけ、いつかワクワクしながら活躍してほしいと思います。

生徒さんコメント(抜粋)
・「いま夢を持たなくてもいいし、夢のある人をサポートする事でいつか夢は見つかるはず」という言葉が一番印象に残りました。いま夢をもっていない私にとって、とても役に立った言葉でした。
・グループワークが楽しかった!全員で考えることでいろんな会社について意見が出たので、もっと調べてみたくなった。
・今日あらためて書き出したりして自分の好きなことについて考えてみたら、意外と自分にもこれから先やっていきたいと思うことがあることに気づいた。これからやっていきたいことを早いうちから探したりして、叶えられるように今できることをやっていきたいと思った。
・ひとつの商品だけで関連している仕事がとても多いことが分かって、そういう細かなとこから(将来の仕事を)探してみるのもいいとわかった。
・講師の人は前向きな人ばかりで勇気が湧いてきました。ありがとうございました。

今回の特別授業を通して、私自身も自分の好きなこと、おもしろいと感じることや将来のことについて考えるきっかけになりました。働き方や生き方などの価値観が多様化し、仕事のあり方も変化している世の中ですが、みんなが自分の「好き」で活躍できる素敵な社会になるといいな、と思います。

都立東高校の皆さん、ありがとうございました!


※当記事のコメントは、個人の見解です。当社が運用する投資信託や金融商品等の売却・購入等の行為の推奨を目的とするものではありません。