食品価格の高騰は、ピンチでもありチャンスでもある?!【企業調査の最前線!コロナ禍以降の日本で起こっていること】
2023年は、日本株にとって転換の年だといえるかもしれません。
日経平均株価※はバブル崩壊後高値を更新、ニュースではインフレや大手企業の賃金上昇が話題になるなど、どうやらこれまでとは様子が異なるようです。
日本株にいったい何が起きているのか?この流れは今だけのものなのか?
この連載では、レオスのエコノミストやファンドマネージャーが日本株の今と未来への考察を語ります。「日本株のことが気になるけど、よくわからない」「いまから買っても間に合うの?」といった疑問について、一緒に考えていきましょう!
担当: 株式戦略部 アナリスト 松本
聴き手:レオス営業部兼ひふみ営業部 三田村
食品価格の値上げが止まらない
2022年から、食品の値上げが続いています。2022年6月から2000品目、10月には7800品目もの商品が値上げされているんです。そこからピークアウトの動きを見せるものの、2023年には値上げの品目数が2022年を上回る勢いです。
サプライチェーンから考える食品価格の値上げ
まずは食品メーカーですが、仕入れから製造までを担っていることが多いです。
【仕入れ】原材料費の高騰や、「価格変動」が大きいとビジネスにも影響します。いずれにしても、単純に商品を値上げすればよいというわけにはいきません。商品を値上げすると、価格を据え置いた競合他社にシェアを奪われる可能性もあります。
国際紛争の影響で仕入れが困難になるケースなどもあります。例えばウクライナ危機では、サーモンの輸入に影響がありました。ロシア上空経由の直行便が使えなくなり、西アジア経由で運ばれることになって仕入れ価格が上がったのです。
また原油価格の急騰で光熱費が急激に上がり、多くの食品工場の電気代が「億」単位で変化しました。
【製造】製造の現場では、人手不足が深刻です。外国人の技能実習生を集める難しさや、働き手の高齢化などの問題に直面しています。
(参考)いよいよ日本にもインフレの波がやってきた【今が日本の転換点?インフレで変わる日本株!】#1
https://hifumi.rheos.jp/labo/2023/iijanjapan01.html
2024年問題
2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働が年間960時間に規制されます。ドライバーの労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、「モノが運べなくなる」可能性が懸念されています。これを「物流の2024年問題」といいます。(参考:全日本トラック協会HP)
食品の値上げについて話をするとき、サプライチェーン全体を見て投資するポイントを考えます。「値上げしたから良い・悪い」ということではないんですね。商品が作られて消費者のもとに届くまで、いろんな企業が関わっていて影響し合っています。
【販売】仕入れ価格・電気代・人件費の高騰などで利益が圧迫されていました。値上げすることで利益が出せるかどうかがポイントです。2023年になって日本でもインフレが定着しつつあり、外部環境が良くなったことで株式市場での評価も変わってきています。
環境の変化は投資のチャンス
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