【前編】FPナナコさんと子どもの教育資金準備を考える―教育費1,000万円って本当に必要?
はじめに
「教育費は子ども1人1,000万円かかる」
この言葉を聞いて、不安になったことはありませんか?
子育て中の多くの方が、教育費について漠然とした不安を抱えています。
「本当にそんなにかかるの?」「うちの家計で準備できるの?」「いつから、どうやって貯めればいいの?」
そんな疑問にお答えするため、レオス・キャピタルワークスでは2025年8月に「教育費の不安を、"わかる"に変える『教育資金準備セミナー』」を開催しました。今回はセミナーの内容をもとに、教育資金準備について2回にわたりお届けします。
「FPナナコさん」として活躍されているファイナンシャルプランナーの塚越菜々子先生にお話をうかがいながら、教育資金準備について学んでいきましょう。
セミナー動画のアーカイブはこちらでご覧いただけます。
https://youtu.be/p1iv-CvLhJA?si=jsk7aQamndejPTBy
【講師】塚越 菜々子(つかごし ななこ)さん
CFP®認定者・公的保険アドバイザー、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、資産形成コンサルタント
保険や金融商品を取り扱わない独立系FPとして、年間200件の共働きの家計相談を行う傍ら、運用経験の全くない女性向けの「確定拠出年金・NISA」や、「公的年金・働き方」に関するテーマのセミナー等を多数開催中。YouTubeチャンネル「FPナナコ【働く女性のお金の教養教室】」を運営。
【聞き手】井波 彩(いなみ あや)
銀行員を経て、レオス・キャピタルワークスに入社。現在はひふみ営業部で、直販のお客様向けセミナーやコンテンツ制作を担当している。共働きで忙しいが、4歳の息子を持つ母親として真剣に教育資金準備を考え中。
第1回のテーマは「教育費の真実」
塚越先生:実はその1,000万円の中身を知ると、そんなに恐れることはないんですよ。
井波:そうなんですか?詳しく教えてください!
1.教育費「1,000万円」の正体―実は3分の2は、学費以外
まず、よく言われる「教育費1人1,000万円」の内訳を見てみましょう。
幼稚園から大学まですべて公立に通った場合の金額:約1,052万円
幼稚園から大学まですべて私立に通った場合の金額:約2,756万円
この数字だけ見ると、確かに恐ろしくなりますよね。
でも実は、ここで見た1,000万円や2,700万円というのは、学校に払うお金だけではないんですよ。
教育にかかるお金は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
1. 養育費:子どもを育てるための基本的な費用(食費、衣服費など)
2. 学校教育費:学校に直接支払う費用(授業料、入学金など)
3. 学校外教育費:習い事や塾などの費用
先ほどの1,000万円や2,700万円は、これらすべてを含んだ金額なのです。
そのため、実際に学校に支払う金額は全体の3分の1程度となります。残りの3分の2は、習い事や塾、その他の養育費が占めているのです。
学校外教育費の例
習い事:ピアノ、スイミング、サッカーなど
学習塾:中学受験、高校受験対策
教材費:参考書、問題集、通信教育
ひとつの習い事でも、毎月1万円程度はかかりますよね。複数通わせてあげたいと思うと、あっという間に月3〜5万円になってしまいます。
重要なポイント:これらは「選択」できる費用
学校外教育費の多くは「選択できる」ことがポイントです。もちろん、子どもにいろいろな経験をさせてあげたいという親心は理解できます。でも、これらは絶対に必要な費用ではありません。家計の状況に応じて調整できる費用です。
2.目標をもって備えるべきは「大学進学のための費用」
井波:では、教育費として本当に備えておくべきなのは何でしょうか?
塚越先生:それは、大学進学費用になります。義務教育期間は月々の収入でなんとかなりますが、大学費用は短期間でまとまった金額が必要になります。ここだけは、事前の準備が不可欠です。
大学費用の準備が重要な理由
1. 短期間で大きな金額が必要
・入学金、授業料を一括で支払う必要がある
・親の月々の給料だけでは対応が困難
2. 下の子がいる場合の影響
・上の子の大学費用支払いに追われて、下の子の準備ができなくなる
・計画的な準備が家族全体の安心につながる
3. 子どもの選択肢を広げてあげられる
・資金不足で進路を制限する必要がなくなる
・子どもの可能性を最大限に伸ばしてあげられる
井波:ここまでのお話を聞いて、1,000万円すべてが『絶対に必要』なお金ではないということがわかりました。そのうえで、大学費用については早めの準備が必要になりそうですね。
3.現実的な目標設定の方法
塚越先生:大学費用について、どこまで親が準備するかを決めることから始めましょう。
費用が抑えられるという点では国立大学は魅力的ですが、希望の進路が必ずしも国立大学とは限らないですよね。私立文系の500万円くらいをひとつの目安にしておくと、いざという時の選択肢を狭めずに済みます。
井波:どこまで準備するかは親が決めて、それからこの表の金額を見て、この金額を具体的にどうやって準備するか、と考えればいいんですね。
塚越先生:大学費用は入学時にかかるお金だけではありません。学費以外にも、次のような費用がかかることが想定されます。
住居費・生活費の例
• 家賃:月5〜8万円
• 生活費:月5〜10万円
• 仕送り合計:月10〜18万円
• 4年間で480〜864万円
親が全面的に支援すると、学費と合わせて4年間で1,000万円を超えることも珍しくありません。
井波:それだとけっこう負担が大きくなりますね…。
塚越先生:そうなんです。重要なのは、「どこまで親が準備するか」の決定です。
どういう選択をするかに正解はありません。ご家庭の価値観と経済状況に合わせて決めることが大切になりますので、夫婦や家族でしっかりと話し合ってみてくださいね。
井波:塚越先生、ありがとうございました!後編では私の家庭を例に、具体的な毎月のつみたて金額について考えてみたいです。
後編のテーマ:「大学進学費用を貯めるための現実的な目標設定の方法」
井波家の目標設定実例をもとに、教育資金を貯める3つの方法【預貯金・保険・投資】を用いて子どもが18歳になるまでの月々のつみたて金額を算出します。ぜひご覧ください。
https://hifumi.rheos.jp/labo/2025/202512_ikuashi2.html
もっと詳しく知りたい方は、教育資金の基本を学べるセミナーの動画をYouTubeでご覧いただけます。
https://youtu.be/p1iv-CvLhJA?si=jsk7aQamndejPTBy
ひふみと一緒に考えよう!新・教育資金プロジェクト
https://contents.hifumi.rheos.jp/shin-kyoikushikin-pj
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